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Hitachi

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2011年10月25日

風力発電用の永久磁石発電機の小型・軽量化技術を開発

巻線形誘導発電機と比較して重量30%減(当社比)を実現

  株式会社日立製作所(社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、このたび、風力発電システムの軽量化と建設時の作業負荷の低減などを実現する2,000kW級風力発電用の永久磁石発電機の小型・軽量化技術を開発しました。
  今回、発電機の回転子に冷却用通風溝を形成することで永久磁石を効率的に冷却し、かつ発電機の小型・軽量化を実現する高冷却回転子構造を開発するとともに、磁石配置や冷却用通風溝寸法を最適化し、電気特性と機械強度のバランスを保つことができる発電機設計技術を開発しました。本技術を適用した2,000kW級永久磁石発電機を試作、検証した結果、現在風力発電用として主に導入されている巻線形誘導発電機(2,000kW級)と比較して、同レベルの発電効率(97%以上)*1を保ちつつ、約30%の重量低減*2を達成できることを確認しました。

*1
風車が駆動することにより回転子に入力される100の力に対して発電出力が97以上(発電ロスが3%未満)を実現する発電機
*2
日立の風力発電用の2,000kW巻線形誘導発電機との比較

  近年、地球温暖化や資源価格高騰の対策として、再生可能エネルギーである風力発電などの導入量が世界的に拡大しています。現在、運用されている1,000〜3,000kWクラスの風力発電システムでは、回転子に駆動電力を供給しながら風車を回転させ発電する巻線形誘導発電機が主に使用されており、回転子への電力供給が不要な永久磁石を活用した永久磁石発電機への期待が高まっています。また、風力発電用に使用される発電機は、地上数10mから100mを越える高さにあるナセルに設置されるため、システムの軽量化と建設時の作業負荷の低減など、小型・軽量化の実現が求められています。
  このような背景から、今回、日立は、永久磁石発電機の回転子に冷却用通風溝を設けることで発電機を小型・軽量化し、かつ冷却風量を増加させることで回転子内に配置された永久磁石を効率的に冷却できる高冷却回転子構造を開発しました。また、永久磁石発電機は、大容量化に伴って回転子が大径化し、遠心力が増大することから、電気特性と機械強度のバランスを保つ設計が求められます。そこで、永久磁石発電機の設計にあたっては、電磁界解析・応力解析・熱流体解析を活用した一元化設計技術を開発しました。

  今回、開発した高冷却回転子構造と発電機設計技術の特長は以下の通りです。

1. 高冷却回転子構造
  通常、永久磁石発電機の回転子は円筒形状である一方、今回開発した高冷却回転子構造は、永久磁石のN極とS極の磁極間に冷却用通風溝を設けることで、冷却風量を増加させることができるとともに、発電機内部まで適切に冷却風を配分することができます。これにより、回転子内に配置された永久磁石を効率的に冷却することができます。また、通風溝は、永久磁石の発熱(磁石損失)を増加させる磁束を低減する効果があるため、発電機の小型・軽量化とともに高効率化を実現することが可能となりました。
2. 発電機設計技術
  永久磁石発電機は、電気特性だけではなく、永久磁石やコイルなどの各部位の温度上昇や回転子の機械強度に対して、技術的な制限値を満たす設計が求められます。このため、電磁界解析・応力解析・熱流体解析を活用した一元化設計技術を開発しました。この設計技術を適用することで、磁石配置や冷却用通風溝寸法の最適化が容易となり、小型・軽量かつ高効率な発電機を設計することが可能となりました。

  これらの技術を適用することで、現在主流となっている巻線形誘導発電機と比較して、同レベルの発電効率(97%以上)を保ちつつ、約30%の重量低減を実現しました。これにより、風力発電システムを導入する際のシステムの軽量化と建設時の作業負荷の低減につながります。

  日立は、今後も、風力発電をはじめとした社会インフラを支える製品への永久磁石発電機の適用を進めていきます。また、環境性能に優れた風力発電等の新エネルギー事業を推進し、低炭層社会の構築に貢献していきます。

  なお、本技術は、10月26日から27日に国立大学法人長崎大学で開催される電気学会回転機研究会にて紹介します。

今回開発した2,000kW級永久磁石発電機用高冷却回転子

[画像]今回開発した2,000kW級永久磁石発電機用高冷却回転子

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 日立研究所 企画室 [担当 : 鈴木]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
電話 0294-52-7508(直通)

以上

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