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2011年10月17日
会議や組織内コミュニケーションの改善に適用
株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、このたび、会話する相手とその頻度を記録するコミュニケーション測定装置「ビジネス顕微鏡」*1を用いて、412名の会社員を3ヶ月間にわたって計測し、職場における会話の活性度を表す数式モデルを構築することに成功しました。本モデルは、傍聴者が多いほど会議が不活性化することや、会議などのフォーマルな場以外で大人数で会話するほうがより活性度が高まることなど、これまで経験的に言われてきた職場でのコミュニケーションの特徴を定量的に把握することができます。また、本モデルを用いれば、まず、少人数で会話を活性化した後に、大人数の会議を開催したほうが会話の活性度が高まるなど、会議や職場のコミュニケーションを活性化する提案が可能になります。今後は、本モデルを組織改革ソリューションサービスの新しいアプローチ手法として活用していく予定です。
日立は、対面コミュニケーションに着目し、その実態を測定、可視化することができる「ビジネス顕微鏡」を開発し、2009年から組織改革ソリューションサービスを展開してきました。「ビジネス顕微鏡」は、赤外線センサ、加速度センサ、マイクセンサと、無線通信デバイスを内蔵した名札型のセンサネット端末*2であり、社員が就業時間中に装着し、「誰が」「いつ」「どこで」「誰と」「どの程度活発に」対面コミュニケーションしているかを網羅的に測定します。膨大な測定データをもとに組織内のコミュニケーション頻度や活動状況を可視化することで、組織内のコミュニケーションの実態を把握してきました。この「ビジネス顕微鏡」で得た膨大なデータを解析し、一般的な法則性を見出すことで、対面コミュニケーションを数式モデル化できれば、組織内の対面コミュニケーションを改善するための手法や効果を定量的に推定することが可能になります。このような観点から、今回、測定データから、会話中の人の活性度を決める要因を解析し、対面コミュニケーションにおける会話の活性度を表す数式モデルを構築しました。開発内容は以下の通りです。
ソフトフェア開発会社の社員412名に対し、3ヶ月間、「ビジネス顕微鏡」で就業中の全会話を測定しました。会議室や立ち話などの全ての会話の測定データより、会話の参加者の活性度に影響を与える要因について解析しました。その結果、以下の2点が明らかになりました。
会話の数式モデルの構築にあたり、"会話の参加者の活性度は、参加者の多数を占める活性度に同調するように変化する"特徴が、磁石中の原子のスピンが互いに向きを揃えようとする振る舞いに類似していることに着目し、磁石の性質を表すモデル*4を用いて、会話コミュニケーションの数式モデルを構築しました。この数式モデルを用いて会話の活性度をシミュレーションし、実測値と比較したところ、統計的有意に一致していることを確認しました。
構築した数式モデルを用いると、傍聴者が多いほど会議が不活性化することなど、これまで経験的に言われてきた会議の特徴を定量的に把握し、組織内の対面コミュニケーションを改善するための手法や効果を定量的に推定することが可能になります。今後、今回得られた数式モデルに基づいて、会議の効率や社員間の連携をより効果的に高める手法を構築し、「ビジネス顕微鏡」による組織改革ソリューションサービスの新しいアプローチ手法として提供していきます。
株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪1丁目280番地
TEL : 042-327-7777(直通)
以上