このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新のお問い合わせ先は、お問い合わせ一覧をご覧下さい。
2011年9月20日
株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西宏明/以下、日立)は、このたび、都市間を結ぶ長距離光ファイバ通信において、従来に比べ4倍のデータを伝送する16値光多値伝送方式の実用化に不可欠な信号処理技術を開発しました。
長距離光ファイバ通信のさらなる大容量化のために、光多値伝送方式*1が注目されています。光源に高品位なレーザを使う伝送実験では、データの送受信が確認されていますが、光源に市販の半導体レーザを用いた場合、レーザ光の位相雑音*2(波形の揺らぎ)により伝送品質が劣化してしまうという課題がありました。そこで、日立は、市販のレーザを用いた光多値伝送において、位相雑音の影響を低減する信号処理技術を開発しました。本技術を用いて、毎秒80ギガビットの16値信号を320kmの長距離伝送する実験を行い、伝送品質を損なうことなく受信できることを確認しました。今後は、本技術を応用し、毎秒400ギガビットの超高速光ファイバ通信の実用化に取り組んでいきます。
近年、インターネットの普及によるデータ容量の増大に伴い、都市や都市間に張り巡らされた基幹系光ファイバ通信は大容量化が進んでいます。これまで光ファイバ通信の大容量化には、光波長多重通信方式*3が利用されてきましたが、さらなる大容量化に向け、光多値伝送方式や偏波多重方式*4等の新しい技術が注目されています。光多値伝送方式は、光の強度や位相*5を組み合わせ変化させることで、一度により多くのデータを伝送するものです。例えば、光の位相を90度間隔で4つの値に変化させれば4値の多値信号となり、2の2乗、すなわち一度に2ビットの情報を送ることができます。さらに、垂直と水平に振動する2つの光の波を重ね合わせ2倍のデータを伝送する偏波多重方式を用いれば、合計4ビットの情報を伝送することができます。現在、偏波多重方式と4値の多値信号を組み合わせた、毎秒100ギガビットの次世代光ファイバ通信の実用化が検討されています。しかし、さらなる大容量化をめざし16値、32値と多値化を進めていくと、位相角度の間隔が狭まるため、光源に高品位なレーザを使う伝送実験では多値信号を判別できても、実用化を想定した市販の低コストな半導体レーザでは位相雑音が大きくなってしまい、多値信号の判別が困難でした。
そこで、日立は、市販のレーザを用いた光多値伝送方式において、位相雑音の影響を低減する信号処理技術を開発しました。技術の詳細は以下の通りです。
今回開発したデジタル遅延検波技術と位相積算技術を光ファイバ通信の信号処理に適用し、市販の半導体レーザを光源に用いて、毎秒80ギガビットの16値信号を320kmの長距離伝送する実験を行いました。従来は、位相雑音の影響で受信できませんでしたが、本技術により受信できることを確認しました。今後は、本技術を応用し、毎秒400ギガビットの超高速光ファイバ通信の実用化に取り組んでいきます。
株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 [担当 : 木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 042-327-7777(ダイヤルイン)
以上