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2011年7月19日
ボタンを押すタイミングを合わせる実験を繰り返し脳活動と協調作業との関連性を解析
株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、このたび、ウェアラブル型の光トポグラフィ*1技術を用いて、2人1組で協調的に作業を行う被験者の前頭葉の脳活動を計測し、脳活動と協調作業との関連性を解析しました。今回の計測では、2人の被験者に「10秒後を目安に同時にボタンを押す」という課題を10回繰り返し、2人で協調作業をする際の脳活動を同時に計測しました。6組の被験者を対象に脳活動パターンとボタンを押すタイミングの間隔について統計解析を行ったところ、前頭葉の脳活動パターンの類似度が高い方が、ボタンを押すタイミングが近いという結果が得られました。
最先端の脳科学研究では、人と人との協調や対立などを伴う社会生活の中で、脳がどのような処理を行っているかを解明する「社会脳科学」研究の取り組みが始まっています。本成果は、この社会脳科学の研究において、日常に近い状況で脳活動を測定できる特長をもつ、ウェアラブル型の光トポグラフィ技術が有用な測定手段であることを示すものです。
近年、脳機能の画像計測法が発展し、個々の外部刺激と脳活動との関連を分析できるようになってきました。しかし、社会脳科学の研究では、日常生活と同じ環境で、共通の作業にかかわる複数の人の脳活動を同時に計測して解析することが重要です。これまで、脳波計*2またはfMRI*3を複数台利用して、複数人の脳活動を測定した例が報告されてきましたが、日常的な環境で脳の活動部位をより手軽に測定できれば、社会脳科学の急速な発展が期待できます。
今回、日立では、ウェアラブル型の光トポグラフィ技術を用いて、2名の被験者が協調的に作業する際の脳活動の同時計測を試みました。計測の内容は以下の通りです。
今回の成果は、ウェアラブル型の光トポグラフィ技術を用いて、日常生活と同じ環境で2人の脳活動を同時計測し、脳の活動部位のパターンから、協調作業における2人の脳活動の相互関係を解析できたことにあります。今後もウェアラブル型の光トポグラフィ技術を用いて日常生活の中で相互作用する複数の人の脳活動を分析することにより、社会脳科学の研究の発展に寄与していきます。
なお、本成果は、7月18日付けの、米国の生体医用光学に関する専門誌「Journal of Biomedical Optics」Online版に掲載されました。
株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当 : 木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 042-323-1111(代表)
以上