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2011年7月19日
株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、データセンター*1内のサーバやストレージなどを収容したコンピュータラック*2の増設にあわせ、ラック間を接続するネットワークをスケーラブルに拡張する通信経路制御技術を開発しました。
本技術は、従来、データセンターのラックの接続に必要であった大型スイッチの代わりに、小型スイッチを並列に接続することで、システムの拡張や構成の変更にともなうラックの増設にあわせスケーラブルにネットワークを拡張し、立ち上げ時の初期投資を抑えるとともに、消費電力も低減します。また、稼動中の業務システムを停止することなくネットワークの拡張作業が進められ、運用性を高めるなど、大災害に対応するBCM*3強化の観点から、その重要性が高まっているデータセンターの低コストで柔軟な運用に貢献していきます。
近年、顧客の業務サービスや基幹システムを受託し、運用するデータセンターに対し、業務の拡張や変更にあわせて情報システムを迅速に立ち上げたい、あるいは、運用中にあっても柔軟に拡張したい、というニーズが急速に高まっています。こうした柔軟な運用、拡張のためには、コンピュータラックの増設や構成変更に応じ、情報システムの基盤となるネットワークが柔軟に拡張できるとともに、構成変更に伴う通信状態の変化に対して安定した性能を提供しなければなりません。しかし、従来のデータセンターは、コンピュータラック間の接続に大型スイッチを用いているため、ネットワークの柔軟な拡張や変更に対応することが困難でした。
そこで、日立は、小型のボックス型スイッチ*4に着目し、これを並列に設定することで拡張性の高いネットワークを実現するスケーラブルな通信経路制御技術を開発しました。開発技術の概要は以下の通りです。
従来、経路制御に利用されている通信プロトコル*5STP(Spanning Tree Protocol)*6は、スイッチ間で複数の経路が接続されていても単独の経路しか使用しませんでした。そこで、スイッチ間で複数の経路を同時に接続することで、各スイッチが自律的にネットワークを拡張する通信経路制御技術を開発しました。個々のスイッチの機能をサーバなどへ接続ポート*7を提供するものとスイッチ間を相互接続するものに分け、運用することで、並列化を実現しました。
増設するスイッチのため、運用管理の負担が増大する問題があります。そこで、並列に設定した複数の小型スイッチを、一つの装置とみなして管理する技術を開発しました。一括してセキュリティの設定などが行えるとともに、スイッチ増設に伴うケーブル配線時には、正しい配線を誘導し、作業の効率化と信頼性の向上を実現します。本技術により、通信性能と信頼性を確保しながら、スケーラブルに拡張できるデータセンターのネットワーク基盤を構築することが可能となります。大型スイッチを用いて最大構成を想定したネットワークを構築する必要がなくなるため、立ち上げ時の初期投資を抑えるとともに、消費電力も低減します。また、すでに稼動している業務システムを停止することなくネットワークの拡張作業を進められるなど、運用性も改善します。低コストで柔軟に運用できるデータセンターの実現により、BCMの強化に貢献していきます。
なお、本技術は、情報通信技術に関する展示会「Interop Tokyo 2011」(2011年6月8日〜10日)における日立電線株式会社の展示の一部として参考出展されました。当展示は、出展された製品・技術の中から有識者によって優秀と認められたものを表彰する『Best of Show Award』で特別賞を受賞いたしました。
株式会社日立製作所 横浜研究所 企画室 [担当:塚越]
〒244-0817 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地
TEL : 045-860-3092 (直通)
以上