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2011年5月24日
株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、計測機器や医療機器、自動車の動力制御などに適用するための中高耐圧半導体集積回路の小型化、高性能化に向け、35V〜200V間の異なる耐圧を持つトランジスタを1チップ化する技術と、ゲート耐圧が300Vを超えるトランジスタの開発に成功しました。5月23日から米国カリフォルニア州サンディエゴで開催されているISPSD(International Symposium on Power Semiconductor Devices & IC's)2011において本成果を発表しました。
半導体集積回路に用いられるトランジスタには、ゲート、ドレイン、ソースという三つの端子があります。端子に高い電圧をかけるとトランジスタが破壊してしまいます。トランジスタが破壊しない限界電圧のことを耐圧と呼びます。計測機器、医療機器などにおいては、ソース-ドレイン間に最大200V〜300Vクラスの複数種類の耐圧を持つトランジスタが必要です。これまでは異なる耐圧をもつトランジスタは、異なる半導体プロセスで製造していました。そのため、ディスクリート部品*1と従来の半導体集積回路技術による構成では、これら複数の部品を1チップへ集積化することは困難でした。
このたび、お客さまのさらなる装置の小型化、高性能化の要望に応えるために、35V〜200Vの広範囲に渡る耐圧を持つ複数のトランジスタを1つのチップに集積する技術を開発しました。この技術により、複数のチップで構成していた半導体部品を1つのチップに集約することが可能となります。そのため、お客さまの装置の小型化、軽量化だけでなく、部品点数の削減による装置の信頼性の向上に貢献できます。
また、ゲート-ソース間の耐圧が300Vを超えるトランジスタを開発しました。このトランジスタを用いた中高耐圧半導体集積回路では、ゲート-ソース間の耐圧が低い一般的な中高耐圧半導体集積回路で必要であったゲートに信号を与えるための専用回路が不要になります。高電圧回路のみでの構成が可能で、回路の構成がシンプルになり、チップサイズ、消費電力及び漏れ電流*2の低減を図れます。
日立ではこうした多様化するパワーエレクトロニクスのニーズに応えるため、35V〜300Vの中高耐圧トランジスタ技術とアナログ技術を用いたカスタムIC*3を幅広い分野に応用してきました。これまでの技術に、今回の技術を融合し、多くのお客さまに、より付加価値の高い半導体集積回路を提供していきます。
株式会社日立製作所 情報・通信システム社 マイクロデバイス事業部
企画部 [担当 : 神保、濱中]
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