ニュースリリース

ウエスタンパワーディストリビューションと電圧安定化システムの
供給で合意

英国配電会社のスマートグリッド実証実験に参画

  株式会社日立製作所 (執行役社長:中西 宏明／以下、日立)の欧州における現地法人、日立ヨーロッパ社(社長:清水　章)は、このたび、英国の大手配電会社であるウエスタンパワーディストリビューション(サウス・ウエスト)社およびウエスタンパワーディストリビューション(サウス・ウェールズ)社(Western Power Distribution (South West) plc 、Western Power Distribution (South Wales) plc／ 以下、WPD社)に、電圧安定化システムを提供することで合意しました。本システムは、英国のエネルギー規制機関のOfgem(Office of the Gas and Electricity Markets)が推進する低炭素ネットワーク(Low Carbon Networks／　以下、LCN)のプロジェクトとして、WPD社が予定するスマートグリッド実証実験に採用され、日立は日本メーカ−として初めて本実証実験に参画していきます。

  WPD社が予定するスマートグリッド実証実験は、本年夏より開始する3年間のプロジェクトであり、サウス・ウエスト・イングランドとサウス・ウェールズにある合計4つのサイトで行われます。本実証実験では、日立の高度な電圧安定化技術や配電系統電圧制御を用いることで、再生可能エネルギーが接続される電力網における急激な電圧変動を抑制し、安定した電力系統を実現することをめざしています。
  第1フェーズでは、11kVの配電網において配電用無効電力補償装置を1台用いた試験を行います。本装置は、高度なIGBT*技術を採用することで、再生可能エネルギー特有の不安定な電圧変化を抑制し、電力網に安定した電力を継続的に供給することができます。第2フェーズでは、本装置をさらに3台追加して、配電系統電圧制御システムの試験を行います。

  日立が提供する電圧安定化システムは、電圧変化を大幅に低減することが可能であり、配電事業者にとって、既存の送配電システムの設備増強や設備の更新を行うことに比べ経済的です。日立の配電用無効電力補償装置は、当初、太陽光発電の電力を電力系統に安定的に供給するために日本で開発されました。今回のWPD社のスマートグリッド実証実験は、日立の電圧抑制技術が欧州において導入される初めての事例となります。

  今後、欧州においては、環境配慮型のエネルギーとして、風力や太陽光発電といった再生可能エネルギーを活用した配電事業のさらなる市場拡大が見込まれています。日立では、WPD社などのスマートグリッド実証実験に早期に参画することで、日立の技術的な優位性や現地でのプレゼンスを高めるとともに、次世代のスマートグリッド関連製品の早期市場投入を行い、欧州における事業拡大をめざします。

  日立は、「グローバル」「融合」「環境」の3つを経営のフォーカスとし、情報通信システム技術で高度化された社会インフラを提供する「社会イノベーション事業」のグローバル展開を加速しています。英国におけるスマートグリッド実証実験は、日立が注力する事業分野であり、これまで社会インフラ、情報通信、情報制御の分野で培ってきた技術・経験を基に、最先端の技術、製品およびシステムを提供し、低炭素社会の構築に貢献していきます。

ウエスタンパワーディストリビューション社について

  ウエスタンパワーディストリビューション社は、英国ミッドランド、サウス・ウェールズおよびサウス・ウエストの55,300km²ものサービスエリアにおいて760万以上の顧客に電力の配電を行う企業です。所有する設備は、216,000kmの地上および地下配電網と184,000箇所の変電所からなります。

• * IGBT : パワー半導体の一種で、Insulated Gate Bipolar Transistor(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の略称。電力関連システム、鉄道車両、産業機器や家電製品のインバーター部分に用いられているスイッチングデバイス。

以上