このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新のお問い合わせ先は、お問い合わせ一覧をご覧下さい。
2010年11月15日
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
モリブデン-99*1/テクネチウム-99m*2の安定供給のための官民検討会に参画
日立GEニュークリア・エナジー株式会社(取締役社長 : 羽生正治/以下、日立GE)は、GE日立ニュークリア・エナジー社(以下、GE日立)と協力し、商業発電用の沸騰水型原子炉(BWR)を利用したモリブデン-99の製造技術開発について実用調査研究を行うことを決定しました。また、日立GEは、日本の官民の関係機関により設立された「モリブデン-99/テクネチウム-99mの安定供給のための官民検討会」*3(事務局 : 内閣府/以下、本検討会)に参画することとなりました。
テクネチウム-99mを原料とするテクネチウム製剤(放射性医薬品)は、核医学診断で最も利用件数の多い製剤であり、日本は米国に次ぐ世界第2位の需要国です。テクネチウム-99mは、放射性同位元素モリブデン-99から得られる放射性同位元素で、日本は全てのモリブデン-99を海外から空輸により調達しています。また、モリブデン-99の9割以上は、海外の数基の老朽化した研究用の原子炉(以下、研究炉)において生産されていますが、最大規模の生産量を持つ研究炉の故障による長期停止や本年4月にアイスランドで発生した火山灰による飛行制限により、世界的にモリブデン-99の深刻な供給不足が発生しました。
内閣府原子力委員会は、モリブデン-99の供給不足問題を踏まえ、「原子力政策大綱に示している放射線利用に関する取組の基本的考え方に関する評価」(平成22年6月1日)において、「関係行政機関が、産業界・研究開発機関等の関係機関と緊密に連携・協力しつつ、国としての対応について検討を進めていくことが必要である。」と提言を行い、本提言を受けて、本年10月6日に官民による本検討会が設立されました。
一方、米国においても、モリブデン-99を全て輸入に依存していたことや、従来の高濃縮ウランを核分裂させてモリブデン-99を得る方法を核不拡散上制限せざるを得ないことから、米国政府内に関係省庁にまたがるワーキンググループが設置され、モリブデン-99の供給方策について検討が行われています。その中で、米国エネルギー省によりモリブデン-99の供給方法に関する提案募集が行われ、GE日立の提案した、BWRを利用してモリブデン-99を製造する方法が補助金事業の一つに採用されました。
BWRを利用したモリブデン-99の製造方法(以下、BWR法)は、既設BWRを利用して天然に存在するモリブデンに中性子を照射し、モリブデン-99を製造するものです。BWRは、原子炉 出力測定用の計測機器を定期的に較正するため、原子炉格納容器の外から較正機器を炉内に出し入れするシステム等が備わっています。この構造上の特徴を生かして、モリブデンの中性子照射と取り出しを容易に行うことが可能です。この新しく提案したBWR法は、現在世界の研究炉で行われている濃縮ウランの核分裂生成物からモリブデン-99を得る方法と比較して、核燃料物質を取り扱う必要がないことから核不拡散上有益であり、また、放射性廃棄物の低減等に大きく貢献することが期待されます。
日立GEは、BWR法の数年後の実用化をめざしてGE日立との協力を開始しています。また、日立GEは本検討会に参画し、日本国内のBWRを利用してモリブデン-99を製造し、テクネチウム製剤の製造に供する可能性について、関係機関と検討を行う予定です。
日立GEニュークリア・エナジー株式会社は、株式会社日立製作所と米国ゼネラル・エレクトリック社が原子力事業における経営資源を融合して、2007年7月1日に日本で設立した会社です。BWRの研究開発から、設計、製造、建設、保全サービスまで一貫してできる高度な技術力を有し、特に最新型である改良型BWR(ABWR)では、国内の全6プラントに参画しており、国内トップシェアの実績があります。
日立GEニュークリア・エナジー株式会社 事業企画本部 原子力事業企画部 [担当 : 長島]
〒101-8608 千代田区外神田一丁目18番13号 秋葉原ダイビル
電話 03-4564-5116 (直通)
以上