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2010年9月29日
株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、光トポグラフィ法を用いて脳活動を可視化する技術とその活用による人間指向ソリューションの取り組みにおいて、このたび、財団法人日本産業デザイン振興会が主催するグッドデザイン賞*の「2010年度 グッドデザイン・フロンティアデザイン賞」を受賞しました。
「グッドデザイン・フロンティアデザイン賞」は、近未来の生活を示唆する「まだ実現されていないものごと」が評価対象とされています。今回、日常生活に近い状態で脳活動を計測する小型・軽量化した装置を開発したこと、また、脳活動の計測技術を研究分野だけでなく、お客さまのモノづくりやエンターテインメントに応用した試みを高く評価いただきました。
光トポグラフィ法は、微弱な近赤外光を頭皮上から照射して、脳活動に伴う脳内の血液量の変化を無侵襲で計測し画像化する技術で、1995年に世界に先駆けて日立が開発しました。近年、医療現場だけでなく、家庭やオフィス、屋外など日常に近い状況で脳内の血液量の変化を計測し、脳科学や認知学、心理学、教育などさまざまな分野でその結果を活用するニーズが広まっています。
日立では、そのニーズに対応して、計測技術の小型・軽量化を推進してきました。2010年7月に、前額部22チャンネルの「ウェアラブル光トポグラフィ」、2009年11月には前額部2チャンネルの「頭部近赤外分光計測装置」を販売開始しました。製品化においては、研究者とデザイナーが密に連携して、小型・軽量化を追求するとともに、被験者の負担を少なくしたデザインにしました。
また、これまで日立が培った脳科学の研究結果と脳活動の計測技術をモノづくりに応用する取り組みとして、脳科学の研究結果が適切に表現されているかどうかを第三者の専門家が参画した「Brain Science審査会」で審査し、その審査結果を踏まえてBrain Scienceマークを付与する活動を推進してきました。株式会社バンダイとの共同プロジェクトから生まれた乳児玩具「BabyLabo(ベビラボ)®」は本マークが付与された製品の第一弾です。
なお、一般の方に自分の脳の活動状態を可視化するエンターテイメントとして体験していただける試みとしては、2006年7月に、株式会社ナムコと連携して東京・池袋にある「ナムコ・ナンジャタウン」のアトラクション「若返りの秘宝」内に「前頭葉のほこら」を設置し、多くの方にご利用いただいています。
本年度のグッドデザイン賞表彰式は、11月10日に東京ミッドタウン・ホール(東京都・港区)で開催される予定です。
今回は研究用途向けの開発を行いましたが、体重計の家庭への普及に伴って体重管理を通した健康意識が高まったように、将来的には、日常的に使える脳機能計測装置の開発・普及をめざしたいと思います。さらに開発においては、可視化したデータからユーザー自身が脳の状態を読み取って行動に生かすことができるサービスのデザインについても研究チームやユーザーと協創していきたいと考えています。
人の脳は環境の影響を受けて成長するため、脳の機能から考えた商品開発が今後ますます重要になってきます。脳科学で使われる手法や研究結果を商品開発のプロセスに取りこむことで、人々のよりよい生活づくりの実現(Quality of Life)に貢献していく所存です。
株式会社日立製作所 新事業開発本部 人間指向ビジネスユニット [担当:吉村]
〒100-8280 東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
TEL : 03-4564-2584 (直通)
以上