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2010年8月31日
日本放送協会
株式会社日立製作所
動画ファイルデータの流出対策に貢献
日本放送協会(会長:福地 茂雄／以下、NHK) と 株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明／以下、日立)は、放送映像を低解像度の動画ファイルに変換する際、画質の劣化を抑えながら識別情報を電子透かし*1として埋め込むことができるトランスコーダー*2を共同で開発しました。本トランスコーダーで変換された動画ファイルは専用ソフトにより識別情報を把握できるため、データ流出対策への貢献が期待されます。
近年、放送映像を記録するメディアは、VTRテープから動画ファイルへ移行が進んでいます(ファイルベース化)。また、ホームページの作成やインターネット上での二次利用などで、高解像度の動画ファイルから、低解像度の動画ファイルに変換(トランスコード)する機会が増えています。動画ファイルは、PCなどの情報機器との親和性が高く、取り扱いが容易である一方で、データ流出に対する対策が求められています。データ流出を防ぐため、データの識別情報を画像や文字として映像に上乗せ(スーパーインポーズ)するなどの対策が行われていますが、本来の映像に不要な情報を上乗せしなければならないという問題がありました。
こうしたことから、NHKと日立は、放送映像を低解像度の動画ファイルに変換する際、画質の劣化を抑えながら識別情報を動画ファイルに埋め込むことができるトランスコーダーを開発しました。日立独自の電子透かし技術を導入することにより、知覚できない程度に画像を変更することで識別情報を動画ファイルに埋め込みます。その情報は専用ソフトにより把握できるため、データ流出対策への貢献が期待されます。
今後、NHKと日立は、本トランスコーダーを活用して、映像データの効率的なセキュリティ管理を実現する放送映像のファイルベース化を進めていきます。
なお、本トランスコーダーの技術については、8月31日から愛媛大学にて開催される2010年映像メディア学会年次大会、9月7日からスペインで開催予定のコンピューターと人工知能に関する国際会議「International Symposium on Distributed Computing and Artificial Intelligence 2010 (DCAI'10)」において発表される予定です。
| 入力映像 |
動画ファイル形式:MPEG-2 データ転送速度:100Mbps 解像度:1920×1080, 1440×1080 |
|---|---|
| 出力映像 |
動画ファイル形式:H.264/AVC データ転送速度:2Mbps〜512kbps 解像度:640×480, 512×288, 352×240など |
| 電子透かし埋め込み情報量 | 64bit/1フレーム |
| トランスコード性能 (変換例) |
入力:1440×1080, 100Mbps 出力:352×240, 512kbps 変換時間:60分の映像データを約37分で変換 ※そのうち、電子透かし処理時間は約17％ |
| ハードウェア諸元* |
OS:Windows Server 2003* CPU:XeonE5320 1.86GHz×2* メモリ:2GByte |
 識別情報を上乗せした画像(従来技術) 、[画像右](b) 電子透かしを埋め込んだ画像（電子透かし技術） * 画像データには、社団法人映像情報メディア学会(ITE)、社団法人電波産業会(ARIB)のハイビジョン・システム評価用標準動画像第2版から、夜景(フィックス)(No.117)、女性と花束(No.163)を利用。](0831.jpg)
日本放送協会 広報局広報部 [担当:中村、熊井]
〒150-8001 東京都渋谷区神南二丁目2番1号
TEL : 03-5455-2458(直通)
株式会社日立製作所 システム開発研究所 企画室 [担当:塚越]
〒244-0817 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地
TEL : 045-860-3092(直通)
以上
