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2010年6月11日
空調機器、パワーエレクトロニクス機器などの省エネルギー性の向上に貢献
株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)はこのたび、水冷中の物体表面の温度分布を、感温塗料により可視化する計測技術を開発しました。本計測技術は、従来に比べ、0〜100℃と広い範囲で水冷中の物体表面の温度を計測できることが特長です。本計測技術を用いれば、多量の熱を発する空調機器やパワーエレクトロニクス機器などの水冷中の温度計測が可能となり、最適な冷却条件を把握できることから、各機器の省エネルギー性能の向上への貢献が期待されます。
発電装置やインバータなどのパワーエレクトロニクス機器や空調機器、各種IT機器は、高性能化に伴いその発熱量が増大しています。地球温暖化防止の観点から、こうした機器から発生する熱を効率良く冷却し、発熱量を抑制することが求められおり、現在、冷却性能の高い水冷方式の普及が進んでいます。
これら水冷機器の冷却効率を向上するためには、水冷中の物体表面の温度分布を直接計測することが欠かせません。しかし、物体表面の温度計測で普及している赤外線サーモグラフィーでは、物体表面から放射される赤外線が水中で吸収されてしまうため、水中での計測は不可能でした。
また、感温液晶を水中の物体に塗布して表面を撮影し、液晶の色合いと温度の相関を利用して水冷中の温度分布を求める手法がありますが、一種類の液晶で計測可能な温度幅が、最大で10℃程度と限定的であることから、広範囲にわたる温度分布の計測は困難でした。
このような背景から、日立は、水冷中の物体表面の温度分布を幅広い範囲で可視化する計測技術を開発しました。開発した技術は以下の通りです。
物体表面に塗布する材料として、光を当てると、温度に応じた強度の発光をする感温塗料を採用しました。あわせて、長時間水中にあっても塗料が溶けださないためのコーティング技術を開発しました。
波長400ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)の光を水中の物体表面に照射し、励起される波長650ナノメートルの光をCCDカメラで撮影した上で温度情報に変換し、温度分布を可視化する温度分布可視化技術を開発しました。本技術により、0〜100℃まで、広い範囲で水中の物体の表面温度の可視化が可能となります。
今後は、本計測技術を、熱流動現象の解明や設計技術の高度化へ適用し、空調機器、パワーエレクトロニクス機器、IT機器などの高度な熱管理を必要とする製品開発に反映させることで、各製品の省エネルギー性の向上に貢献していきます。なお、本成果は2010年5月26日(水)から5月28日(金)まで開催される「第47回日本伝熱シンポジウム」にて、5月28日(金)に発表しました。
株式会社日立製作所 機械研究所 企画室 [担当:秋葉]
〒312-0034 茨城県ひたちなか市堀口832番地2
TEL : 029-353-3047 (直通)
以上