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2010年5月25日
光通信分野で用いられる位相多値技術を導入
株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、このたび、映像や音楽のアーカイブに用いられる光ディスクの大容量化に対応したデータ記録再生の速度を向上させる 「位相多値記録再生方式」を考案し、データ再生方式の原理検証実験に成功しました。
今回開発した「位相多値信号記録再生方式」は、次世代の光ディスク大容量化技術のなかで現行光ディスクとの互換性を有するマイクロホログラム方式*1をもとに、日立が光ディスクへの適用を独自に開発してきた、光の干渉*2を利用して検出信号を増幅する「ホモダイン検出技術*3」を応用して多値記録*4を可能にし、ディスクの大容量化とデータ転送速度の向上を同時に実現するものです。日立が行った、データを再生する原理実験では、位相8値信号を再生できることを実証しました。本技術を用いて、今後、32値の多値記録まで拡張することができれば、現行Blu-ray Discの数10倍の記録容量と、10倍の転送速度性能をもつ光ディスクの実現が可能になります。
映像や音楽などのアーカイブのデータ容量は今後も飛躍的に増大することが予測され、データの長期保存に適したCD、DVD、BDなどの光ディスクには、さらなる大容量化が求められています。その実現を図るためには、ディスクの記録容量を増やすための記録方式の技術革新と、より短時間での再生を実現するためのデータ転送速度の向上が欠かせません。記録方式の改善についてはディスクの記録層数を増やす「多層化方式」と、単層光ディスクの厚さ方向に3次元的に記録を行う「3次元記録方式」の研究が進んでいます。しかしいずれの記録方式においても光ディスクの一層あたりに記録される情報量(面記録密度)は従来と同じであるため、データ転送速度の向上にはつながらず、大容量化によるデータ読み書き時間の増大が課題となっていました。
そこで、日立では、3次元記録方式の中でも、現行光ディスクとの互換を有しながらも、サブテラバイトの容量を実現できるマイクロホログラム方式を基盤に、光の位相情報を利用して多値記録を行うことによって、大容量化とともにデータの転送速度を向上する多値位相記録再生方式を考案しました。多値位相記録再生方式の概要は以下の通りです。
今回、再生方式の原理検証を行うために、実験システムを構築し、読み出しの際に光ディスクから得られる反射信号を疑似的に生成し、これを用いて多値信号の検出を行いました。その結果、位相差がわずかな信号を、位相8値信号として検出することができました。今回の成果は、光ディスクの大容量化とデータ転送速度の高速化を同時に実現する多値記録の可能性を示すものであり、今後、技術開発を推進し、実用化を目指します。
なお、本技術は、5月23日から米国コロラド州ボルダーで開催される光ストレージ技術に関する国際会議「Optical Data Storage Topical Meeting 2010」にて発表する予定です。
株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:木下、工藤]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
TEL : (042)327-7777 (ダイヤルイン)
以上