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2010年4月26日
株式会社日立製作所
バブコック日立株式会社
株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西宏明)とバブコック日立株式会社(取締役社長 : 脇野哲郎)は、このたび、フィンランドの大手電力会社であるフォータム社(Fortum Corporation)の協力のもと、火力発電所の排気ガスからCO2を分離・回収し、貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術の実用化に向けたCO2回収技術を開発しました。具体的には、低コストかつ発電所の効率低下を抑制する独自の酸素燃焼システムと、安定的な発電所の運用を実現する信頼性の高いバーナーを開発しました。今後、日立グループでは、石炭火力発電所のCCS実証案件および商用案件に本技術の適用を図っていきます。
近年、地球温暖化の原因として、大規模火力発電所からのCO2排出が挙げられており、火力発電で発生する排気ガスからCO2を分離・回収し、貯留するCCS技術が、CO2排出削減に有効な手段として世界的に注目されています。日立グループでは、CO2分離・回収の市場規模が、現在から2020年までの累計で約3兆円、2030年までの累計で35兆円以上に拡大すると見込んでいます。
日立グループは、2008年5月から、フォータム社の協力を受けて、石炭火力発電所における酸素燃焼方式のCCS技術の研究を開始しました。酸素燃焼方式は、通常の石炭火力発電で用いられている空気ではなく酸素を使用して石炭を燃焼させ、排出されるガスの成分の90%以上をCO2にすることで、排気ガスからCO2を分離する工程を設けることなく容易に回収できる技術です。今回の共同研究では、低コストかつ発電所の効率低下を抑制するシステムを構築するとともに、炎を安定的に維持するバーナーの開発を目的として、既設の500MWクラスの石炭火力発電設備を対象に、酸素燃焼システムを取り付けるための検討を進め、プロセスシミュレーターによる評価、大型試験設備を用いた燃焼試験を実施しました。
今回の共同研究では、排気ガスの循環部分の腐食を防ぐ独自のシステムを構築し、従来の酸素燃焼システムと比較して、既存のボイラーに取り付ける際のコストを大幅に低減*できることを実証しました。また、独自の熱交換システムの導入により、CO2回収に必要な動力を低減することで、発電所の効率低下を1〜2%抑えられることを確認しました。さらに、空気燃焼から酸素燃焼への切り替え時や出力を下げて運転する際にも炎を維持する性能が高いバーナーを開発し、安定的なプラント運転を可能にしました。
日立グループは、CCS技術において、2010年2月にカナダのサスカチュワン州電力公社(Saskatchewan Power Corporation)と低炭素エネルギー技術の協力協定を締結し、CCS実証プロジェクト向け蒸気タービンを受注したほか、ドイツのアーヘン大学(Aachen University)との共同研究、ベルギーの大手電力会社であるエレクトラベル社(Electrabel S.A.)との実証試験など、国内外で多数の共同研究・実証実験を行っています。
日立グループは、今後、世界の電力会社が計画している石炭火力発電所のCCS実証案件および商用案件に対し、積極的に受注活動を展開し、低炭素社会の構築に貢献していきます。
バブコック日立株式会社 呉研究所 [担当 : 丸本]
〒737-8508 広島県呉市宝町5番3号
電話 0823-21-1169 (直通)
以上