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2010年4月6日
株式会社日立製作所
執行役社長 中西 宏明

日立製作所 執行役社長 就任会見での挨拶(抜粋)

  日立は、1910年の創業以来、モータ、発電設備、家電、コンピュータ、半導体と、その事業領域を拡大してきました。一方、この100年の間に人類を取り巻く環境は大きく変化し、現在では、地球温暖化に代表される環境問題や、資源・エネルギー枯渇への懸念など、グローバル規模での様々な課題が顕在化しています。こうした課題の解決に向け、世界の各地で、人々の生活を支え、環境にやさしい、安全で安心な社会インフラが切実に求められています。次の100年に向けた一歩を踏み出すに際し、創業の原点でもある社会インフラ事業・技術が大きく貢献できる時代がきていると言えます。ICT(情報通信システム技術)で高度化された社会インフラを提供する「社会イノベーション事業」をグローバルに展開することで、ステークホルダーの皆様の期待に応え、日立を世界有数の「社会イノベーション企業」にしていきます。

  昨年日立は、TOBによる上場子会社5社の完全子会社化など、社会イノベーション事業への傾注に向けた施策を強力に推進しました。同時に、過去大きな赤字の原因となった事業の構造改革、固定費・資材費の削減を従来にはないスピードで実施した結果、課題事業のダウンサイドリスクを限定的にすることができました。また、今後のさらなるグローバル展開に向けた設備投資と戦略投資に充当する資金も公募増資などによって調達し、財務基盤の強化を図りました。こうした経営施策を通じ、日立は、安定的な収益基盤を確立し、グローバル競争を勝ち抜き、新たな成長を実現する体制を整えています。

1. 経営のフォーカス

  社長として、社会イノベーション事業強化のために「グローバル」、「融合」、「環境」という3つの分野にフォーカスしていきます。

(1) グローバル

  一つ目のフォーカスは「グローバル」、真のグローバル企業への変容です。先進国では、社会 インフラのリノベーションの需要が、新興国ではイノベーション需要が旺盛ですが、お客様の真のニーズをつかみ取り、ソリューションに仕立て上げる能力にもっと磨きをかけなければならないと痛感しています。海外の大規模プロジェクトでは、機器納入、運用から保守、場合によってはファイナンスまでコミットの範囲が広がっています。お客様のニーズをつかみ、具体的な形にしていく能力にさらに磨きをかけ、足りない部分は政府やパートナー企業などと連携しながら、提案・受注から運営・メンテナンスにいたるプロジェクトという形に結実させていきます。そのためには、マーケットやお客様の近く、「現場」に事業の司令塔を置き、現地で販売や保守を受け持つチームを立ち上げ、エンジニアリング力を高めながら、お客様の真のニーズに応えていかなければなりません。また、若いスタッフに権限と責任を与え、ローカルスタッフとともにグローバルなマーケットの最前線に出していくことが大事です。こうした「マーケットイン」の取り組みを、各カンパニーとコーポレートが連携して強力に押し進めることで、グローバルトップ事業を育ていくことができると確信しています。

(2) 融合

  二つ目のフォーカスは「融合」、情報・通信システム事業と社会インフラ事業の融合です。日立はICTと社会インフラ技術を持つ世界でも類まれな企業体であり、二つの技術が融合する領域で日立にしか提供できない価値を創出していきます。具体的には、環境配慮型データセンタやスマートグリッドなどがこの分野で大きな成長を期待されている事業ですが、例えば、スマートグリッドでは、4月に高橋副社長を本部長とした「スマートシティ事業統括本部」を立ち上げました。発電技術や送配電系統制御技術、電力メータのデータを収集するフロントエンドからバックオフィスまで広がる、日立の持つノウハウと技術を、統括本部が一貫してマネージします。日本で磨いた技術力と品質を、世界のお客様が求めるソリューション提供に活用する、ここに日立にとっての大きなチャンスがあります。グローバルなマーケティング力の強化や標準化への戦略的なアプローチなども展開し、融合事業の拡大を図っていきます。

(3) 環境

  「環境」が三つ目のフォーカスです。環境対応力は社会イノベーション事業のすべてに通ずる 必要不可欠なプラットフォームであり、社会インフラの構築やリニューアルの際には環境負荷低減の配慮が必須です。経済成長を実現しながら地球環境や人々の健康な生活を守っていく、こうした使命を国や自治体が果たすためのお手伝いを日立がする機会が大きく広がっています。効率的なクリーンエネルギーである原子力発電や、環境負荷を低減する高効率火力発電、環境配慮型データセンタやハイブリッド鉄道システム、ハイブリッド自動車向けシステムなどを柱に、それらを支えるモータやインバータ、産業用・自動車用リチウムイオン電池などのキーデバイスを強化することで、現在既に50%近くになっている「環境適合製品」売上高比率を、2025年度までには100%にする計画であり、これによりグローバルなビジネスチャンスを確実に成果に結びつけていきます。

2. 新たな日立グループのあり方

(1) カンパニー制

  グローバル化や融合を経営の「横串」とすると、この4月に本格導入したカンパニー制は 縦串」であり、自主独立の新しい形でもあります。社内カンパニーとグループ会社に、上場会社同様の責任と権限を与え、緊張感と一体感をもった事業運営を通じ「強い日立の復活」を実現します。この4月から、各カンパニーの運営に資本市場のメカニズムとダイナミズムを、言い換えれば、投資家の視点とステークホルダーへの対外的コミットメントの視点を反映していきます。そのために、Equityサイドの投資家とDebtサイドの投資家の視点に立った、社内格付を導入しました。社内格付に応じて、投資判断やM&A、事業再編など、カンパニーの経営にとっての重要事項に関する意思決定の裁量を付与し、各カンパニーの財務体質の向上を、ひいては日立グループ全体の財務体質強化を図ります。

(2) 事業ポートフォリオのあり方

  日立の事業ポートフォリオの最適化は私自身の重要ミッションです。昨年は、社会イノベー ション事業強化の観点から、上場子会社5社の完全子会社化を実施しました。一方で、ボラティリティが高く社会イノベーション事業から距離のあるコモディティ事業は遠ざける方向で改革を進めてきました。事業ポートフォリオの見直しは、経営にとって継続的に検討すべき課題であり、今後も最適な事業のあり方を構築するために、経営会議での議論を進めていきます。アクティブな資本政策と合わせ、パートナリングやアライアンス等、事業のあり方や選択肢は様々ですので、社会イノベーション事業の強化という観点から、絶え間ない改革を進めていきます。

(3) 財務基盤強化

  財務基盤の強化には引き続き強い意志をもって進めていきます。昨年は公募増資を実施しましたが、グローバルに見てまだまだ満足できるレベルではありません。今後は、基本的に、利益の積み上げによって、株主資本の充実を図っていきます。さらにD/ Eレシオの改善を図るなど、強いバランスシートの確立を通じて強固な財務基盤の確立を図ります。

(4) 人財育成

  グローバルな成長を実現するためには、多様な人財の育成と活用が欠かせません。日立は昔 から、「人を活かし、技術を活かす」会社ですが、若い人が夢と自信をもって社会イノベーション事業にあたることができるよう、権限と責任を与え、お客様のいるマーケットに出てグローバルに渡り合える仕掛けを作っていきます。具体的には、グローバルにビジネスをリードする人財の確保と育成を図るとともに、様々な地域から多様な人財を採用していきます。東アジアから、中国、中東へと至る、成長著しい“アジアベルト地帯”における事業推進のための人財確保を進めます。グローバルな人財の育成と活用は、事業ポートフォリオの最適化と並ぶ私自身の重要なミッションです。

3. 新経営陣

  会長の川村、社長の中西と、副社長の森、八丁地、三好、高橋の6人からなる経営会議のメンバーに、新たに日立金属の持田農夫男が副社長として加わることで、経営の視点により厚みをもたせ、昨年来進めてきたグループ構造改革をいっそう加速していきます。また、八丁地副社長が担当する経営基盤強化本部には、「グループ経営企画室」を新設し、グループ全体の経営企画機能を強化します。加えて、三好副社長が担当する経営改革本部には、「戦略プロジェクト室」を新設し、M&A、新事業展開、経営課題に対応した事業構造改革の推進機能を強化します。日立はこれまでの100年、お客様、株主・投資家、従業員など様々なステークホルダーによって育てられここまでやってきました。次の100年、人を活かし、技術を活かし、日立のあらゆる リソースを活用して、世界有数の「社会イノベーション企業」としての「強い日立」を復活させます。新経営陣の揺るぎ無いコミットメントによって、ステークホルダーみなさまのご期待に着実に応えていきます。

以上

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