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2010年2月2日
シミュレーションにより、現行製品比5倍以上の記録密度を確認
株式会社日立製作所(執行役会長兼執行役社長:川村 隆/以下、日立)は、このたび、記録密度が 1平方インチ当たり2.5テラ(テラは1兆)ビットとなるハードディスク装置(以下、HDD)を実現する記録ヘッドの基本技術を開発し、シミュレーションにより、その性能を確認しました。今回開発した技術は、ディスクの微小領域に光を当て、熱を加えつつ、磁気データを書き込む「熱アシスト磁気記録方式(以下、熱アシスト記録)」に対応したヘッド技術です。日立は、直径20ナノメートル(nm)以下の極微小の光スポットを生成できる光素子と、これを磁気ヘッドの先端部に一体形成する技術を新たに開発し、シミュレーションにより、これらの技術を用いて作製した記録ヘッドにおいて、1平方インチ当たり2.5テラビットに相当する磁気記録を安定して行えることを確認しました。今回の成果により、HDDの記録密度を現行製品の5倍以上に増大できる見通しを得られました。
本成果は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けて推進中の「超高密度ナノビット磁気記録の研究開発(グリーンITプロジェクト)」の一環として得られたものです。
IT社会の進展に伴い、HDDは、企業や公共機関の大規模データベース、PC、ハードディスクレコーダをはじめとするデジタル民生機器の記録・再生装置など、社会を支える大容量ストレージとして不可欠なものとなっています。さらに、データセンタなどで扱われる情報量の増加に伴い、消費電力の増大が問題視されるなか、HDDの高密度・大容量化は、装置の小型化などに寄与することから、省エネルギーで環境に配慮した社会を実現する重要技術として注目されています。
近年、現行のHDDで用いられている垂直磁気記録方式の次の技術として、1平方インチ当たり1テラビット以上の記録密度を実現する熱アシスト記録の研究開発が進められています。熱アシスト記録は、記録媒体の微小領域に光を当て、熱を加えることで、局所的に磁化を反転しやすくし、磁気データを記録することから、記録ヘッドには微小なスポット形状の光を照射する光素子の搭載が必要となります。従来、1平方インチ当たり1テラビットの記録密度を実現する記録ヘッドが開発されてきましたが、さらなる高密度化を実現するためには、記録ヘッドの光素子において、光スポットの微小化、ならびに十分な加熱を行える光強度の確保が課題となっていました。
このような課題に対応するため、今回、日立では、直径20nm以下の極微小の光スポットを生成できる光素子と、これを磁気ヘッドの先端部に形成する技術を開発し、記録密度が1平方インチ当たり2.5テラビットとなる熱アシスト記録用のヘッドの基本技術を確立しました。開発した技術の詳細は以下のとおりです。
日立は、今回開発した近接場光素子の形状と大きさをもとに、発生する近接場光の形状や強度を実時間電磁界解析法*3を用いて予測し、近接場光エネルギーによる記録媒体の温度上昇を解析しました。さらに、マイクロマグネティクス*4に基づいた数値計算に、記録媒体の温度上昇による磁気特性の変化の影響を組み入れることにより、媒体上に記録できる信号や雑音情報を予測し、詳細に解析しました。その結果、本開発の記録ヘッドを適切な媒体と組み合わせた場合、トラック幅約28nmビット、長さ約9nmの記録を安定して形成できることを確認しました。これは、1平方インチあたり2.5テラビットの記録密度に相当します。
なお、本成果の詳細は、2010年1月18日から22日まで米国ワシントンDCで開催された磁気記録に関する国際学会「11th Joint MMM-Intermag Conference」にて発表しました。
株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:木下、工藤]
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TEL : 042-327-7777(直通)
以上