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通信事業者や企業のWeb/テレコム連携サービスを容易に実現できる
ソフトウェア「NGNアプリケーションアダプタ」を販売開始
SIPを意識することなくスピーディなアプリケーション開発が可能
株式会社日立製作所(執行役会長兼執行役社長:川村 隆/以下、日立)は、このたび、通信事業者のアプリケーション開発部門や企業の情報システム部門などのサービス提供者向けに、インターネットや企業内ネットワークで提供されるWebアプリケーションと、通信事業者や企業内で提供される音声、映像、データなどの通信サービス(テレコム機能)を、容易に連携可能とするソフトウェア「NGNアプリケーションアダプタ」(以下、本製品)を開発し、1月25日から販売を開始します。
本製品を用いることで、開発者にとって難易度の高い通信プロトコルSIP*1を意識せずにテレコム機能を活用したスピーディなアプリケーション開発が可能となり、サービス提供者は、相手にワンクリックで電話をかける(Click-to-Call)などの機能を追加し、さらに付加価値の高いWebとテレコム機能が連携されたサービスを利用者に提供できます。また、本製品は既存IPネットワークだけでなく、通信事業者で導入・拡大が推進されている次世代ネットワーク[以下、NGN*2]上のサービスにも対応可能です。
- *1
- SIP(Session Initiation Protocol):
IPネットワーク上で音声、データ、映像などのさまざまなマルチメディアの通信を行うための標準的な通信制御プロトコル。
- *2
- NGN (Next Generation Network):
国際電気通信連合 電気通信標準化部門 (International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector:ITU-T)等で標準化が推進されている次世代ネットワーク。
近年、通信事業者が導入・拡大を推進しているNGNを利用して、通信事業者が提供するテレコム機能をWebアプリケーションから利用するためのインタフェースを公開する動きがあり、新しいサービスの創出が期待されます。テレコム機能を使用するサービスを開発する場合、例えば、Webコンテンツから電話をかけるサービスには、電話発信をするために複雑な通信プロトコルであるSIPを実装する必要があります。しかし、Webアプリケーション開発者にSIPでの開発経験が少ない場合もあり、開発難易度の高いSIPの実装には時間とコストがかかることが想定されます。
本製品は、Webアプリケーションからの指示をトリガーに、接続したい二端末を呼出し、二者間の接続をするといった一連のSIP通信制御を、自動実行可能なソフトウェアで実現します。Webアプリケーションからの指示は、Webアプリケーション開発者に馴染みやすいSOAP*3インタフェースを使った、SIPを意識しないシンプルなAPI*4であるため、スピーディな開発をサポートします。
- *3
- SOAP(Simple Object Access Protocol):
インターネット上のコンピュータが、お互いのサービスやデータなどにアクセスするためのプロトコル。インターネット上に公開された認証機能や課金機能といった個々の機能を呼び出すために用いられる。
- *4
- API(Application Programming Interface):
OSやアプリケーションなどの機能の一部を外部アプリケーションから簡単に利用できるようにするためのインタフェース。
「NGNアプリケーションアダプタ」の概念図
製品の特長
- 1. Webアプリケーションの音声、映像、データ機能追加における開発負荷・期間を軽減
- 本製品を活用することで、SIPの複雑な通信処理を代行できるため、Webアプリケーション開発者はSIPを意識することなく、Webアプリケーションに音声、映像、データ機能を容易に追加することができ、従来の開発と比較して開発負荷を20分の1程度*5に軽減可能となります。
また、本製品は、第三者呼制御[3PCC*6]機能を提供しています。これにより、Webアプリケーションと通信機能を連携させることで、例えば、Web上の画面に表示した相手先電話番号をクリックするだけで相手に電話をかけられるアプリケーションを簡単に開発することができます。
- *5
- Web画面の操作から二者間通話を行うアプリケーションの開発において、本製品を用いない場合と開発負荷を比較した結果。
日立独自の試算による。
- *6
- 3PCC(3rd Party Call Control):
IETFなどで、SIPの応用技術として標準化が進められている第三者呼制御技術。
- 2. 業界標準Parlay X*7インタフェースに準拠
- Webアプリケーションからテレコム機能を利用するためのインタフェースとして本製品はWebサービス APIとして広く知られている「Parlay X」に準拠したSOAPインタフェースを提供しています。Webアプリケーションから本製品のテレコム機能を呼び出すコードを、Parlay Xのインタフェースを規定した定義ファイル[WSDL*8ファイル]から自動生成できるため、アプリケーション開発者はWebアプリケーションにテレコム機能を容易に組み込むことができます。
- *7
- Parlay X (Parlay-X Web Services):
Webサービス環境で、通信サービスを利用したアプリケーション開発をするためのアプリケーションインタフェース(API)のこと。
- *8
- WSDL(Web Services Description Language):
Webサービスのインタフェースを記述するための言語。Webサービスで交換されるデータの形式、使用する通信プロトコル、Web上でのサービスの位置などをXML形式で記述したもの。
- 3. 接続検証実績
- 本製品は、東日本電信電話株式会社および西日本電信電話株式会社が提供するテストベット検証環境にて接続検証を行い、両社が現在提供中のNGNサービスについて動作確認済みです。
また、実績ある日立製SIPプロトコルスタック*9を搭載しているため機能拡張性に優れており、今後の次世代ネットワークのサービス拡張へ柔軟に対応できます。
- *9
- SIPプロトコルスタック:
SIPによる通信を実現するために必要な機能をまとめたモジュール。
また、「NGNアプリケーションアダプタ」は、独立行政法人情報通信研究機構 委託研究「次世代ネットワーク(NGN)基盤技術の研究開発」の成果の一部を活用しています。
価格および提供時期
名称 |
価格 |
提供時期 |
NGNアプリケーションアダプタ |
210万円〜 (税抜:200万円〜) |
2010年3月1日 |
*価格は、ハードウェアを除いたソフトウェアの金額です。
*SE、構築、コンサルテーションには別途費用がかかります。
*ユーザーの環境に応じ、カスタマイズが可能です。費用は別途かかります。
ハードウェア仕様(推奨)
Red Hat Enterprise Linux 5(x86)が動作する、次のスペック相当以上の機種を推奨します。
分類 |
仕様 |
CPU |
インテル®Xeon®プロセッサー、デュアルコアXeon ®E3110(3.00GHz)×1 |
ハードディスク |
160GB |
メモリ |
4GB |
インタフェース |
2ポート(1000BASE-T) |
本製品の活用例
1. 宅配サービスにおいて、受取人が配達時刻を変更したいケース
従来、受取人は、配達状況を把握し、その状況に応じて、ドライバーや配達センターなど連絡先の選択が必要でしたが、本製品を活用することで、受取人は連絡先を意識することなく、配達状況に応じた連絡先へWebからワンクリックで電話ができるサービスを構築することが可能となります。
2. 様々なシーンでの電話問合せにおけるコールセンターでの対応のケース
コールセンターに電話した際に回線が混雑していると電話口で待たされる場合の例では、本製品を活用することで、Web上でコールセンターから連絡して欲しい時間を予約登録できるような問い合わせ/予約受付サービスと連携すれば、コールセンターの混雑状況に関わらず、指定した予約時刻になると電話がコールセンターからコールバックされる便利なサービスを構築することが可能となります。
他社商標注記
- Red Hatは、米国およびその他の国におけるRed Hat, Inc. の登録商標です。
- Linuxは、Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における登録商標もしくは商標です。
- インテル、Xeonは、アメリカ合衆国およびその他の国におけるIntel Corporation の商標です。
- その他、記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社日立製作所 情報・通信システム社 ネットワークソリューション事業部
ソリューション本部 [担当:川井、春日]
〒212-8567 神奈川県川崎市幸区鹿島田890(日立システムプラザ新川崎)
TEL : 044-549-1607 (ダイヤルイン)
以上