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2009年12月24日
株式会社日立総合計画研究所
日立グループのシンクタンクである株式会社日立総合計画研究所(取締役社長 : 塚田 實/以下、日立総研)は、以下の通り、短期・中期経済予測を改定しました。
「100年に一度」の大不況に見舞われた世界経済は、G20をはじめとする各国の政策協調によって世界大恐慌の再来を回避した。しかし景気対策依存のぜい弱な状態である。また、徐々に回復中と見られていた金融システムも、09年11月末の「ドバイショック」によってそのぜい弱性を露呈した。実体経済・金融経済ともに不安定要素を残す中、行き場を失った投機資金が再び原油などに向かうリスクもある。このような中、金融危機後の新たな経済構造が現れつつある。すなわち今後の世界経済は、「危機から回復」ではなく、危機の前と後とで経済構造そのものが変わる。
危機の構造的な原因は、米国の過剰消費と中国の過剰貯蓄によるグローバル不均衡であった。不均衡の是正が今後の世界経済の流れを作っていくことになる。その過程で想定される第一の構造変化は、新興国通貨の為替調整と思われる。80年代の貿易不均衡是正で日本が大幅な円高を経験したように、今後、特に人民元に切り上げ圧力が強まり、ドル安と相まって世界の為替秩序は変わっていく。
一方、不均衡是正のもう一つの課題である米国の過剰消費は、家計のバランスシート調整期間を通じて消費抑制が続く。その結果グローバル不均衡は是正に向かうが、その分、危機前に比べて経済活動のレベルが下がり、雇用・所得環境の低迷持続などを通じて成長率が低下することを意味する。
欧州経済も不良債権問題や失業率の悪化が長引いている。中・東欧の低迷は危機的水準にあり、南欧では財政危機が拡大するなど、依然大きなリスクが残っている。
先進国の成長率が低下する中、世界の経済成長をけん引するのは中国・インドをはじめとする新興国である。特に中国は、現在、かつての日本の所得倍増期のステージにあると考えられ、今後極めて短期間のうちに大幅な所得上昇を経験し、内需主導型経済構造へ転換していく可能性が高い。自動車はじめ高付加価値耐久財の普及や、内陸部の開発・発展がこれまで以上に進む。もちろんリスクも存在する。過剰投資による供給過剰や、社会保障の未整備などが家計の防衛的貯蓄を増長したり、政府の為替政策が過剰流動性を生み、資産バブルを発生させる懸念などが挙げられる。
リスクは抱えつつも、膨大な人口を抱える新興国の本格的成長が社会インフラ需要などの巨大な市場を創出することは間違いない。その一方で、資源需要圧力、環境負荷圧力が世界経済成長への制約になる。新興国の成長は、世界経済にチャンスとリスクの両方をもたらすことになる。
政権交代を経た日本は、人口減少下での回復と成長という困難な課題に直面している。「コンクリートから人へ」の政策転換も道半ばであり、2014年でも3%程度のGDPデフレギャップが残ると思われる。医療福祉負担の増加などで財政悪化懸念が高まり、2014年には消費税増税(5%→8%)を想定した。
成長著しいアジア市場に近接しているメリットを活かし、環境や都市、人口の少子高齢化など新たな「グローバル課題」を解決していくことが日本の成長戦略となる。
株式会社日立総合計画研究所 経済グループ
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