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2009年5月18日
国立大学法人東北大学電気通信研究所
株式会社日立製作所
国立大学法人東北大学電気通信研究所(所長:矢野 雅文/以下、東北大)と、株式会社日立製作所(執行役会長兼執行役社長:川村 隆/以下、日立)は共同で、高速なデータ処理が可能なHDDを搭載したストレージシステム(高速ストレージシステム)と、大容量HDDを搭載したストレージシステム(大容量ストレージシステム)を組み合わせた2階層の階層ストレージシステムにおいて、「予知型データ配置方式」により高速かつ低消費電力での稼動が可能なストレージシステム技術を開発しました。
本システムは、東北大と日立が開発した新しい電力制御技術である「予知型データ配置方式」を、ストレージシステムに初めて搭載したものです。まず最初に、データ処理の開始時間を計算・予測し、必要なデータを事前に大容量ストレージシステムのHDDから高速ストレージシステムのHDDに移動させます。データ処理は高速ストレージシステムで行うため、高速な処理が可能です。さらに、処理後にはデータを大容量ストレージシステムのHDDに書き戻すことで、消費電力の大きい高速ストレージシステムのHDD台数を削減できます。これにより、階層ストレージシステムで、高速でのデータ処理と低消費電力を両立させることが可能です。
なお、本研究は、文部科学省の委託研究である「高機能・超低消費電力スピンデバイス・ストレージ基盤技術の開発」プロジェクトにて実施されたものです。
情報化社会の急速な進展は、これまで、ネットワークシステムやIT機器の飛躍的な性能向上によって支えられてきましたが、21世紀の重要課題である地球環境問題の解決に向けて、性能の向上とともに省エネが要求されています。大規模なデータを格納するストレージシステムにおいても近年、長時間アクセスのないHDDを非稼動状態にする、MAID(Massive Arrays of Idle Disks)技術を製品に搭載するなど、省エネへの対応が進められています。このような背景のもと、東北大と日立では、このMAID技術を発展させ、データ処理の開始時間を予測する「予知型データ配置方式」を用いることで、アクセスするデータ領域や時間帯を前もって限定することが困難な場合でも、高速かつ低消費電力で稼動可能なストレージシステム技術を開発しました。
今回、1台の高速ストレージシステム(容量2.1テラバイト*1)と、2台の大容量ストレージシステム(容量64テラバイト)からなる2階層のストレージシステムを試作して効果を検証したところ、「予知型データ配置方式」を搭載しない従来の階層ストレージシステムに比べて17%消費電力を削減できることを確認しました。さらに、実用的な条件下での*2では、容量1ペタバイト*3のシステムとして換算した場合、本技術により、50%以上消費電力を削減できる見通しを得ました。
今後は、高速ストレージシステムと大容量ストレージシステムの間でのデータ移動をさらに効率化することで、より一層の消費電力の削減をめざします。さらに、データの高い処理性能が要求される他のアプリケーションへの適用を検討していきます。
今回開発した技術の内容は、以下の通りです。
データ処理を開始するまでの時間を予測し、対象データが格納された大容量ストレージシステムのHDDを稼動状態にします。その後、処理が開始される前に大容量ストレージシステムのHDDから高速ストレージシステムのHDDに対象データを移動して処理に備えます。データ処理に高速ストレージ システムのHDDを利用するため、高速なデータ処理を行うことができます。
(1)の処理終了後、速やかに対象のデータを大容量ストレージシステムのHDDに書き戻し、高速ストレージシステムのHDDから削除することにより、消費電力の大きい高速ストレージシステムに必要なHDD台数を削減できます。また、大容量ストレージシステムのHDDは通常非稼動状態とし、対象データを移動する際に対象のHDDのみを稼動状態とします。これらにより、ストレージシステムの消費電力を低減することができます。
国立大学法人東北大学電気通信研究所 21世紀情報通信研究開発センター [担当:藤本]
〒980-8577 仙台市青葉区片平二丁目1番1号
TEL : 022-217-5493
株式会社日立製作所 システム開発研究所 企画室 [担当:塚越]
〒215-0013 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地
TEL : 044-959-0325 (直通)
以上