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2009年4月28日
株式会社日立製作所
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
株式会社日立製作所(執行役会長兼執行役社長:川村隆/以下、日立)ならびに日立GEニュークリア・エナジー株式会社(取締役社長:羽生正治/以下、日立GE)は、2009年4月13日付で、原子力安全・保安院より、「原子力発電所における焼鈍作業に係る記録改ざんへの対応について(指示)(以下、指示文書)」を受領し、本日、本件に関する報告書を提出しましたので、その概要についてお知らせします。
2009年3月9日、日立が中国電力株式会社(以下、中国電力)の島根原子力発電所3号機向けに製作中の湿分分離加熱器*1について中国電力が配管の溶接後熱処理*2に関する温度記録(以下、温度記録チャート)の確認を行っていたところ、一部打点の不明瞭な箇所が確認されました。その後、日立または日立GEが溶接後熱処理を委託した日本工業検査株式会社(以下、日本工業検査)が行った他の案件について調査を行ったところ、2005年1月に納入した、中部電力株式会社の浜岡原子力発電所5号機の湿分分離加熱器においても、同様の事象が2009年4月3日に確認されました。その後、日本工業検査が行ったほかの案件で同様な改ざんが無いか調査を継続するとともに、根本原因の分析を行い、再発防止策を策定しました。
日立または日立GEが日本工業検査に委託し、同社が実施した原子力施設と原子力発電所における溶接後熱処理作業にかかわる記録について、確認を行った結果、日本工業検査が関与したプラントは18基あり、当該の2件以外には温度記録チャートの改ざんがないことを確認しました。
1997年に確認された溶接後熱処理作業にかかわる記録改ざんに鑑み、委託先の熱処理作業者に対する品質管理意識徹底のための教育を充実させるとともに、溶接後熱処理作業指示書兼確認書の運用による作業段取りチェック実施の徹底、作業内容の明確化、熱処理実施中の温度記録チャートへの確認サインの記入(原紙の差替え防止)、溶接作業監督者による作業中の現場巡回点検、熱処理作業者の認定・更新などを行い、熱処理記録の改ざん防止に努めてきました。
  しかしながら、これまでの品質管理体制は、温度記録チャートの複製等の記録改ざんを防止する観点から策定されたものであり、打点そのものを部分消去するような改ざんに対しては、十分ではありませんでした。
上記3において摘出した問題点に対して、以下のとおり根本原因を特定しました。
上記4の根本原因の分析に基づき、以下の再発防止策を速やかに行い、信頼の回復に努めてまいります。
熱処理制御方法と操作方法を審査項目に含めた委託先の溶接後熱処理設備の認定制度を導入します。
委託先の熱処理作業者へのコンプライアンスの指導をするとともに、コンプライアンス誓約書(要領書の遵守、失敗の報告、温度記録チャートに変更を加えない等)を提出させます。
溶接作業監督者が打点終了時に温度記録チャートに異常がないかを確認し、温度記録チャート上に署名をすることを規準に定めて運用します。
溶接後熱処理作業判定規準に、インク消し等使用の痕跡の有無、カッター等での削り取りの有無、修正液使用の痕跡の有無、砂消しゴム使用の痕跡の有無を追加します。
日立および日立GEならびに関連会社の溶接検査に係わる要員(品質保証関係者・溶接作業監督者他)への事例教育を実施します。
委託先が実施する溶接後熱処理作業に対する、常時監視の方法として、委託先が作成する温度記録チャートとは別に、監視用の温度記録チャートを採取することとし、照合確認する仕組みを構築します。なお、本仕組みが構築されるまでの間は、温度記録チャートが記録装置から取り出せないよう取り出し口を封印し管理します。
今回実施する抜本的改善策を含め、溶接後熱処理作業に限らず日立または日立GEの委託先におけるコンプライアンス指導・不適合をオープンに話し合える仕組みの高度化と継続的改善を図るため、日立GEの原子力品質保証本部長を委員長とする「調達先記録改ざん防止対策改善委員会(仮称)」を日立GE内に新設し、社内外の専門家を活用しながら、不具合を速やかに顕在化させて処理する仕組み作りを優先課題として、その改善に取組みます。
当該事象に関して電力会社をはじめ、地元自治体など、関係する皆様にご迷惑をおかけしたことを深く反省するとともに、原子力安全・保安院より、厳重注意を受けたことを厳粛に受け止め、役員に対する厳正な処分を行いました。
株式会社日立製作所執行役常務/電力グループ原子力担当CEO兼原子力事業統括本部長 丸彰 : 減俸20%(1カ月)
株式会社日立製作所電力グループ日立事業所長 石塚達郎 : 減俸10%(1カ月)
日立GEニュークリア・エナジー株式会社取締役社長 羽生正治 : 減俸10%(1カ月)
以上