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2009年4月20日
株式会社日立製作所
執行役会長兼執行役社長 川村 隆
来年で日立は創業100年を迎えますが、これまで、創業時の工場の火災や関東大震災、戦後の混乱など、幾多の経営危機に直面してきました。しかし、創業以来の開拓者精神で何度もこれらの危機を克服し、社員も会社も大きく成長することができました。今回の危機に対しても、日立グループ100年の底力を総動員し、次の成長につなげるために、前向きにチャレンジしていきたいと考えています。
執行役会長兼執行役社長就任にあたり、「経験と勇気」を持って「迅速な決断」「迅速な行動」を徹底し、新たな日立として再生することで、ステークホルダーの期待に応えていきます。そのために、新経営陣一丸となって日立グループ全体のリソース配分の最適化をはかり、事業ポートフォリオの再構築を加速します。
まず、日立グループとしての力を最大限に発揮し、グループのアイデンティティを明らかにするという意味でも、これまで以上に「社会イノベーション事業」への傾斜を深めていきます。高信頼・高効率な情報通信技術に支えられた社会インフラである「社会イノベーション事業」、その提供こそが、他社にまねのできない日立の強みであり、日立の原点です。
社会イノベーション事業は、具体的には、情報通信システム、電力システム、環境・産業・交通システム、社会・都市システム、などのコンポーネントからなります。私は、「情報通信システムと電力・電機システムの融合」、「真のグローバル企業への変容」、「環境ビジネスの拡大」という3つの観点から、「社会イノベーション事業」への傾斜を深め、より安定した収益基盤の強化をはかっていきたいと考えています。
情報通信システム事業で培ったプロジェクトマネジメントやシステム取りまとめ力のノウハウを、電力、鉄道などの社会インフラの大型プロジェクトへ応用していく一方、海外に展開している産業システムを契機に情報ビジネスのグローバル化を進めていきます。また、発電システムと制御システム技術を融合することで、スマートグリッドシステムの対応力を強化するなど、情報システムと電力・電機システムの融合による他社にはまねのできない付加価値の創出をはかります。
日立は、単に海外売上高を伸ばすだけではなく、真のグローバル企業へと変容していかなければならないと考えています。ここ数年で伸張してきた発電プラントや交通システムは、今後も海外での拡大が期待されていますが、こうした海外大型プロジェクトは大きな可能性を秘めていると同時に、そのビジネスリスクも決して小さくありません。そこで、ローカルパートナーとの連携や、地域事情に精通した外国人の登用、オペレーションの現地化を積極的に進めていきます。情報通信システム事業では、海外のコンサルティング事業を強化し、その提案力と強いハードウェアを中心に、グローバルなソリューション事業を拡大していきます。また、国内に続き、欧州で立ち上げはじめた環境配慮型データセンタ事業は、日立の幅広い技術力やシステム取りまとめ力を発揮できるビジネスです。今後、日本、欧州以外にも拡大をはかるなど、社会イノベーション事業のグローバル展開を加速していきます。
環境負荷を低減する鉄道システム、自動車システムや物流システムなどの「グリーン・モビリティ」と、原子力発電、高効率石炭火力発電、スマートグリッドや再生可能エネルギー、環境配慮型データセンタを柱に、環境・省エネ対応型事業の開発を加速します。こうしたシステムを支える各種高性能モータ・インバータ、産業用・自動車用の高信頼性リチウムイオン電池などのキーデバイスを強化することで環境関連事業の差別化と拡大をはかり、日立の「環境ビジョン2025」で掲げたCO2排出量1億トンの抑制に確実に貢献していきます。
このような社会イノベーション事業への傾斜をより確実なものとするため、日立グループ全体で研究開発や人財などの経営資源を社会イノベーション分野およびこれらのキーデバイスに重点的に配分します。製造業にとって最上流である研究開発と、お客様のインターフェイスであるシステム取りまとめ力こそが、日立が総合力を発揮できる最大の強みであり、今一度原点に回帰することで次の時代に向けた成長を加速します。
グループをあげた構造改革と最適化を加速化するため、5人の執行役副社長を中心とした5つの本部主導による、事業運営を行います。それぞれの本部の役割等は、以下のとおりです。
事業構造改革およびグループ経営構造改革を加速し、経営改革を断行します。
マーケット・インの徹底を図り、受注の拡大と営業キャッシュフローの改善をはかります。
米国における原子力プラント、中近東における発電システムおよび大規模鉄道システムなどの海外大型プロジェクトのプロジェクトマネジメントの徹底やローカルパートナーとの提携、エンジニアリング購買の強化等を通じ、大型プロジェクトの安定した収益構造の確立をめざします。
環境、モノづくり、購買、IT、国内およびグローバル人財などの社内改革を通じ、経営基盤とリスク対応力の強化をはかり、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様からの信頼をより確実なものとします。
情報通信システム事業と電力・電機システム事業の融合を進め、それを支える研究開発部門の役割を強化することで社会イノベーション事業の徹底強化を進めます。具体的テーマとしては、「環境配慮型データセンタ事業の推進」、「鉄道情報システムを核とした知的基盤の研究開発と事業化」、「スマートグリッド関連事業創出に向けた研究開発の推進」を検討しています。
事業部門の責任と権限を一層明確化させるため、各事業部門をグループ会社同様、一つの法人として擬似的に位置づけ、独立採算によるカンパニー制を徹底します。その上で、強いコーポレートによるカンパニー間の経営リソースの最適配分を強力に進めます。また、社会イノベーション事業の強化につながるよう、日立製作所とグループ会社との関係の最適化をはかり、グループシナジーの最大化をめざします。
製品・サービスの高い品質・高い信頼性は日立が最も大切だと考える価値です。今後、「社会イノベーション事業」に注力し、社会の発展や人々の生活を支えるライフラインを提供するには、最上級の品質を提供していく責務があると考えています。日立は、"落穂拾い"の精神によって、絶えず製品・サービスの不良・事故の撲滅を図っており、今後は、この取り組みをグローバルに徹底していきます。
各事業部門の収益改善とグループベースの固定費削減を進めることで、需要停滞の時代にあっても安定した収益確保を可能にする経営基盤の確立を進めます。また、キャッシュフロー、資産効率の改善を重要な経営指標として継続的に監視し、強固な財務基盤を構築、最終損益の改善とバランスシートの改善を着実に進めることで“財務の日立”復活をめざしていきます。
次世代を担う人財の育成、幅広い層からの新たな人財の活用を積極的に進めていきます。特に、日立の事業のグローバル化を担う人財を世界から広く採用するともに、国内パートナー企業などとの人財の交流や協調をすすめ、日立グループ内の豊富な人財の活性化をはかります。さらに、職場におけるコミュニケーションの改善や働き方の改革を通じ、組織の活性化をはかります。
以上の施策を基に、日立グループの構造改革を進め、日立グループが社会イノベーション企業として真の力を発揮できるよう、果敢にチャレンジしていきます。
以上