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2009年4月1日
皆さん、入社おめでとうございます。心から歓迎します。
私は2003年に日立製作所の経営から離れ、上場子会社の経営に携わってきました。今回、日立グループが直面する危機に当たり、経営の舵取りを急遽拝命することになり、ここにいる皆さんと同様、本日はフレッシュな気持ちで出社しました。自ら先頭に立って、全身全霊を尽くして日立グループの再生を成し遂げようと決意していますので、皆さんにも、ぜひご協力をお願いしたいと思います。
未曾有の経済危機の中で入社された皆さんは、必ずや日立の中核を担う人物に成長していくであろうと、大いに期待しています。危機を克服していく中で、人も会社も大きく成長することは、歴史が証明しており、今回もきっとそうだと考えています。
日立は、これまで工場大火災や関東大震災、1929年の大不況、戦災など、幾多の経営危機に瀕してきましたが、脈々と受け継がれてきた創業の精神で、危機を克服し、これまで約100年にわたって発展してきました。100年に一度の経済危機と言われる不況の中、日立の本当の力が試されていると言っても過言ではありません。
 私のミッションは、個々の事業部門の構造改革と、グループ全体の構造改革を断行し、グローバル化した市場が回復する時には、確実に成長するよう、日立グループ再生の強固な礎を築くことだと認識しています。その礎の上に立つことになる若い皆さんのフレッシュな力に、私は大いに期待しています。
1910年、茨城県日立の銅山の修理工場として産声を上げた日立は、順次事業領域を広げ、現在は、海外売上高も4割強となるなど、グローバルに幅広い事業活動を展開する企業グループに成長しました。グローバル化した市場経済システムは、現在大きな危機に直面しており、日立もグループを挙げてさまざまな構造改革に取り組んでいますが、過去に引き返すことはないため、日本国内のみを見るのではなく、グローバルな経済システムの中で21世紀の道を探さねばなりません。
 また、21世紀は「環境と情報とエネルギーの世紀」になります。地球環境保全という大きな命題の中で、情報システムという神経系統と、エネルギーという筋肉骨格系統の両方を所有するものが、社会の改革者すなわち社会イノベーション事業の先頭に立てるという意味です。日立は、まさにこの両方の事業を所有するものであり、この大きな潮流の先頭に立ち、今こそ新しい社会の建設に向かって進むべきだと考えています。こうした社会のイノベーションに貢献していくことが、創業以来の使命であり、その重要性はますます高まっていると感じています。
現在の世界恐慌は100年に一度と言われますが、日立は大火災や戦災など、何度も壊滅的な状況から再生してきました。日立グループがかつて経験したことがない危機に直面している今、私は経営改革の徹底を進めるとともに、創業の精神をグループ全員で確認し、営業力を強化すると同時に、海外プラントの建設事業を含めたグローバル事業を強化し、情報と環境やエネルギー分野を融合した事業開発を進め、これを支える研究所の役割を強化し、次の発展への礎を築こうと考えています。
幸い、日立には、お客様からの信用、そしてグループ全体に優れた人財、高い技術と価値創造の力があります。私は、現在のこの危機を、迅速な決断と行動で乗り切る決意であり、これまでの経験と勇気を持って、難局に当たりたいと思います。
 社会人になって、生活環境が大きく変化し、精神的にも緊張した状況になると思います。健康に留意して、早く会社に溶け込み、いい仕事をしていただきたいと思います。
以上