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2008年12月4日
日立アプライアンス株式会社

部分負荷運転時のエネルギー消費効率を向上し、世界最高*1の省エネルギー効率を達成

高期間効率吸収冷温水機「EXP/EXSPシリーズ」を発売

[画像]高期間効率吸収冷温水機「EXP/EXSPシリーズ」
日立 高期間効率吸収冷温水機「EXP/EXSPシリーズ」

  日立アプライアンス株式会社(取締役社長:石津 尚澄)は、年間を通じて大幅な省エネルギー化と環境負荷の低減を実現し、世界最高の省エネルギー効率を達成した高期間効率吸収冷温水機「EXP/EXSPシリーズ」を開発し、12月15日から発売を開始します。双方のシリーズについて、120〜1,000冷凍トン*2まで18機種をラインアップします。
  本製品は、定格運転時(冷房負荷率*3100%時)に高いエネルギー消費効率を発揮する「EXシリーズ」をベースに開発しています。冷媒を吸収した溶液を循環させるポンプにインバータ制御機能を追加し、運転負荷に応じて必要なだけの溶液を循環させることにより、部分負荷運転時における性能が飛躍的に向上し、世界最高効率のCOP*41.60(冷房負荷率25%時)を実現しました。これにより、リニューアル需要の対象機種となる15年前の機種「Vシリーズ」と比べ、「EXPシリーズ」では30%、 「EXSPシリーズ」では20%の年間消費エネルギーとCO2排出量の削減を可能とし、地球温暖化の防止に大きく貢献します。さらに、「EXPシリーズ」では、従来機に比べ年間のランニングコストを880万円低減します。

型式および発売日

型式 冷房能力 発売時期 初年度販売
目標台数
EXPシリーズ 422kW (120冷凍トン)〜
3,516kW (1,000冷凍トン)
12月15日 20台
EXSPシリーズ 40台

開発の背景

  地球温暖化防止への取り組みが急務となる中、空調設備機器においても、CO2の発生を抑制し、燃料資源をより一層効率的に活用する方策が求められています。吸収冷温水機*5は、水を冷媒とした地球に優しいノンフロンの空調システムであり、1台で冷水と温水を供給可能な熱源機として、セントラル空調システムや地域冷暖房等に広く採用されてきました。現在、1980年代に大量設置された従来機種の更新期に入り、リニューアル需要が高まっています。
  吸収冷温水機は、従来、定格運転時のCOPが省エネルギー指標として用いられ、この向上を主眼とした技術開発が進められてきました。しかし、現在最も普及している二重効用型*6の吸収冷温水機においては、定格運転時におけるCOPの向上は理論的・経済的にほぼ限界と言われています。加えて、一般的な空調用途で冷温水機を使用する場合、定格負荷で運転される時間は非常に短く、年間を通して見ると50%以下の部分負荷での稼動時間が圧倒的に長いことなどから、近年では空調システムの性能として部分負荷効率や期間効率が重視されるようになってきています。このため、従来からの効率指標である定格運転時におけるCOPの向上よりも、むしろ部分負荷時を考慮した、年間の運転条件における期間効率の向上が課題となっていました。

  当社は、こうしたニーズに応えるため、二重効用型で世界最高の定格運転時COPを有する「EXシリーズ」をベースに、部分負荷時におけるエネルギー消費効率の向上を図ることにより、実運用上での省エネルギー化と環境負荷の低減を実現しました。

新製品の主な特長
<高期間効率吸収冷温水機「EXP/EXSPシリーズ」(120〜1,000冷凍トン)>

1. 世界最高の省エネルギー効率を実現(「EXPシリーズ」の特長)

  定格運転時に高いエネルギー消費効率を発揮する「EXシリーズ」をベースに、従来は一定回転で運転していた稀溶液ポンプにインバータ制御機能を追加しました。冷房負荷に応じてポンプ回転数を制御し、溶液の循環量を最適化したことにより、特に低負荷領域における効率の向上を図りました(図1)。これにより、負荷率50%におけるCOP1.59、負荷率25%におけるCOP1.60と、現在吸収冷温水機の主流である二重効用型での世界最高効率を達成しました。従来機の「Vシリーズ」と比べ「EXPシリーズ」では30%、「EXSPシリーズ」では20%の年間消費エネルギーとCO2排出量の削減を可能とし、大幅な省エネルギー化と環境負荷の低減を実現しました。

[図1]部分負荷性能特性(ガス焚)

2. 年間ランニングコストとCO2排出量を大幅に削減

  期間効率の高い本シリーズは、通年のランニングメリットとCO2排出抑制効果が大きいため、年間を通して冷房運転時間の長いユーザーに適した製品となっています。具体的には、15年前に納入した吸収冷温水機を「EXPシリーズ」に更新した場合、年間880万円のランニングコストと350トンのCO2排出量を削減します。また、「EXSPシリーズ」に更新した場合では、年間560万円のランニングコストと220トンのCO2排出量の削減効果を発揮します(図2,3)。

左[図2]年間ランニングコストの比較、右[図3]年間CO2排出量の比較

[算出条件]
機器仕様:冷房500冷凍トン、冷却水入口温度:JIS条件、冷水のみ大温度差仕様
燃料:13Aガス 52.45 円/m3、運転時間:合計8,000時間、CO2排出係数:2.108 kgCO2/Nm3

3. 空調システムトータルで省エネ化を実現、リニューアル需要にも配慮

  「EXP/EXSP」シリーズは、高いエネルギー消費効率を追求するとともに、冷温水機の付帯設備も含めた空調システムトータルでの省エネ化を実現し、既存設備の有効利用にも配慮しています。

  1. 「大温度差システム」により、循環する冷温水流量と空調機の送風量を低く抑えて、空調システムの搬送動力を約30%低減します。
  2. 冷房負荷に応じて冷却水の流量を減らす「冷却水変流量システム」により、搬送時の抵抗を軽減し、冷却水ポンプの動力を約50%低減します。
  3. 通常、冷温水機の高効率化を図ると冷温水系および冷却水系の圧力損失が増加する傾向がありますが、本シリーズではリニューアル需要にも配慮して、それらの圧力損失を従来機と同等の80kPa以下*7とすることで、既存ポンプの再利用を可能にしています。

  なお、ベース機の「EXシリーズ」は、東京ガス株式会社・大阪ガス株式会社・東邦ガス株式会社の大手都市ガス会社が環境負荷の低減に優れた性能・機能を持つ吸収冷温水機を対象に選定している「吸収式グリーン制度」認証を取得済みですが、今回発売する「EXSPシリーズ」についても高期間効率機の基準で認証を申請予定です。

新製品概要

項目 内容
冷房能力 120〜1,000冷凍トン
標準温度条件 冷水 15/7℃、冷却水 32/37℃
燃料 EXP:13Aガス、EXSP:12A,13Aガス、灯油
COP(JIS基準)*8
(エネルギー消費効率)
EXP:100%負荷1.48、50%負荷1.59、25%負荷1.60
EXSP:100%負荷1.36、50%負荷1.48、25%負荷1.49
据付寸法 長さ5.8m、幅2.1m、高さ3.1m (500冷凍トンの場合)
*1
2008年12月4日現在 二重効用型吸収冷温水機において。当社調べ。
*2
1冷凍トン:0℃の水を24時間で0℃の氷にするために取り去る熱量のこと。一般的に米国冷凍トンが使用される。
1米国冷凍トン=3,024kcal/h=3.516kW/120米国冷凍トン=422kW/1,000米国冷凍トン=3,516kW
*3
負荷のレベルは、外気温や室内の温度等によって異なります。
*4
COP(Coefficient Of Performance):JIS基準エネルギー消費効率。COP=(冷房能力)/(入熱量+消費電力)
*5
水の気化熱を利用して「蒸発−吸収−再生―凝縮」の4つのプロセスによって冷水を作る冷凍機。(下記「吸収冷温水機」参照)
*6
*5の単効用型の吸収冷凍サイクルに高温再生器を追加し、高温再生器で分離した冷媒蒸気の凝縮熱で低温再生器を動作させ、効率の向上を図った冷凍機。(下記「エネルギー消費効率に優れた二重効用型吸収冷凍サイクル」参照)
*7
シリーズ平均値。「吸収式グリーン制度」の選定基準は、シリーズ平均で「冷水系90kPa以下」「冷却水系100kPa以下」が適合。
1kPa=10.203cmH2O
*8
容量により補機動力が異なるため、代表機種の値を示しています。

[図]吸収冷温水機、エネルギー消費効率に優れた二重効用型吸収冷凍サイクル

お問い合わせ先

日立アプライアンス株式会社 大型冷熱営業統括部 営業技術部 [担当:藤田]
〒105-0022 東京都港区海岸1丁目16番地1号 ニューピア竹芝サウスタワー
TEL : 03-6403-4500
FAX : 03-6403-4577

以上

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