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2008年10月16日
メタボリックシンドロームに着目した保健指導を効果的に支援
株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)は、体重と腹囲から内臓脂肪の蓄積度合いを推定し、これらを擬似的な腹部の断層画像として表示する内臓脂肪シミュレーション技術を開発しました。
本技術は、2008年4月より開始されたメタボリックシンドローム*1に着目した保健指導(特定保健指導)において、体重と腹囲の数値を入力することで、現時点の内臓脂肪の蓄積度合いを画像として提示できることに加え、将来、体重が変化した場合の腹囲や内臓脂肪の蓄積度合いも推定し、画像として提示することも可能です。これにより、生活習慣改善への意識向上を促し、特定保健指導を効果的に支援できるとともに、指導の普及への貢献も期待されます。
近年、高血圧や糖尿病などの生活習慣病予防の観点からメタボリックシンドロームの対策が注目されています。厚生労働省では、2008年4月から、メタボリックシンドロームに着目した特定健診(特定健康診査)・特定保健指導の制度を開始しています。特定保健指導では、初回面談時に、X線CT*2で撮影した現在の内臓脂肪の蓄積度合いを対象者に提示し、これを見せながら指導する方法が効果的と言われています。しかし、減量の取組みを行った後など、体重が変化した場合の内臓脂肪の蓄積度合いを推定することが困難なことから、指導の効果を高める支援技術が求められていました。
そこで日立は、75,000例の健診データを解析し、体重と腹囲から内臓脂肪の蓄積度合いを推定する技術を開発しました。また、腹囲周辺の構造を分析し、腹部構造を模式化した変形モデルを考案することで、推定した蓄積度合いを擬似的な腹部の断層画像として表示する技術を開発しました。これにより、現時点の内臓脂肪の蓄積度合いだけでなく、将来、体重が変化した場合の腹囲や内臓脂肪の蓄積度合いも推定し、断層画像として表示することが可能になりました。
なお、本技術の一部は、東京慈恵会医科大学附属病院新橋健診センターの協力を得て開発しました。
本技術の一部は、2008年10月17日から18日まで、大分県大分市で開催される「第29回日本肥満学会」で発表します。
75,000例の健診データから、体重、腹囲、内臓脂肪面積の関係を分析し、体重と腹囲から内臓脂肪面積を推定するアルゴリズムを開発しました。また、膨大な健診データの解析により、腹囲が小さい人と大きい人では、同じように体重を減らした場合でも腹囲の変化が異なる場合があることが判明しました。これらの結果から、将来、体重が目標値に到達したときの腹囲や内臓脂肪の蓄積を推定することも可能になりました。
X線CTの撮影画像から腹囲周辺の構造を分析することで、内臓脂肪と筋骨格構造を模式化し、擬似断層画像として表示できます。これにより、現在の体重と腹囲を入力することで、実際にX線CTで撮影された画像に近い形で、推定した内臓脂肪の蓄積度合いを可視化することができます。また、目標とする体重を入力すると、現在の体重からの変化量に応じて擬似断層画像が変形し、将来の内臓脂肪の蓄積度合いを画像として表示することが可能です。
内臓脂肪シミュレーション技術を実装したプロトタイプの画面例
画面左側が指導開始時(現在)の擬似断層画像、画面右側が体重変化後の擬似断層画像。
赤色、青色、白色、黒色、灰色はそれぞれ、内臓脂肪、皮下脂肪、脊椎、腸管、腹筋などの筋肉及び血管を示す。
画面下側のスライドバーで目標とする体重を入力すると、現在の体重からの変化量に応じて画面右側の擬似断層画像が変形して表示される。
株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
TEL : 042-327-7777 (直通)
以上