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2008年10月14日
株式会社日立製作所
株式会社日立産機システム

加熱・冷却時間を従来の6分の1*1にした
小型熱ナノインプリント装置を開発

[画像]小型熱ナノインプリント装置HNPF-06

  株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)と、株式会社日立産機システム(取締役社長:椎木 清彦/以下、日立産機)は、加熱・冷却時間を従来の6分の1にすることで、生産性を向上させた小型熱ナノインプリント装置を開発・製品化し、11月より受注を開始します。本装置の製造は日立産機、販売は日立産機と日立が行います。

  熱ナノインプリント装置は、微細な凸凹のあるモールド(型)を、加熱した樹脂などの被成形物に押し当てた後、冷却することで被成形物の表面にナノスケールの構造体を成形する装置です。
  今回開発した熱ナノインプリント装置は、ヒーター構造などの見直しを行うことで加熱・冷却機構を改良し、加熱・冷却時間(昇降温時間)を、従来と比べ6分の1となる4分と、大幅に短縮させました。その結果、より短時間でナノスケールの構造体を成形することができ、生産性を向上させることが可能です。また、真空チャンバ(成形を行う真空室)の構造を再設計し、チャンバの容積を縮小することで、同水準の熱ナノインプリント装置*2と比べ、約50%の小型化を実現しています。

  なお、本装置は、2008年10月13日から15日まで京都市で開催されている「NNT’08 Conference(ナノインプリント・ナノプリント技術国際会議)」において発表したものです。

  ナノインプリントは、微細な凹凸のあるモールド(型)を、樹脂などの被成形物に押し当てることでナノスケールの構造体を成形する加工技術で、半導体や光デバイス、バイオデバイス等の高機能化を実現する次世代の微細加工技術の一つとして注目されています。一方、その装置の実用化に関しては、生産性の向上が課題になっています。特に、熱ナノインプリント装置では、微細な凸凹のあるモールド(型)を加熱した樹脂などの被成形物に押し当てた後、冷却する必要があることから、加熱・冷却時間(昇降温時間)の短縮が課題となっていました。このような背景から、日立と日立産機は、加熱・冷却時間(昇降温時間)を短縮することで生産性を向上する、小型熱ナノインプリント装置を開発しました。

  今回開発した小型熱ナノインプリント装置は、熱解析技術によりヒーター構造などを見直したことで、加熱時の温度のバラつきを抑えながら加熱時間を短縮します。また、光ディスクを射出成形*3する際に用いられる金型の設計で培った、独自の冷却制御技術を活用することで、冷却時間を大幅に短縮します。その結果、本装置では、被成形物を60℃から180℃まで加熱した後、60℃まで冷却する際の、加熱・冷却時間(昇降温時間)を、従来に比べ6分の1となる4分と、大幅に短縮しました。これにより、最大で直径150mmの被成形物の表面に、ナノスケールの構造体を10分以内で成形することができ、従来に比べ、生産性を大幅に向上させることができます。また、真空チャンバ(成形を行う真空室)の構造を再設計し、チャンバの容積を縮小することで、同水準のナノインプリント装置と比べ、約50%の小型化を実現しました。

  加えて本装置は、被成形物をセットするステージ(台)表面の高低差を数µmまで縮めたことで、より精度の高い成形が可能になると共に、モールド(型)のセットやステージ(台)の交換などの作業が行いやすいよう、真空チャンバの開口部を従来より大きくすることで、生産性の向上に加え、作業効率の改善にも貢献するものです。

  今後、熱ナノインプリント装置のさらなる生産性の向上と用途の拡大を図るため、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託業務「ナノテク・先端部材実用化研究開発」の成果である、熱式のシートナノインプリント装置*4を改良し、開発・販売する予定です。

*1
当社従来機種との比較。
*2
当社、直径100mm対応の熱ナノインプリント装置。
*3
射出成形 : 溶融した樹脂を金型内に射出し、充填させる事によって成形する技術。
*4
シートナノインプリント装置 : 柔軟な構造のベルト状のモールド(型)を用いて、熱ナノインプリントの基本工程である加熱→加圧→冷却→剥離の各工程を連続化させた装置。

熱ナノインプリント装置 (型式:HNPF-06)の仕様

項目 仕様
本体寸法 970mm(W)×1600mm(H)×600mm(D)
ワーク形状 Φ(直径)150mm
真空度 1.33kPa(10Torr)以下
プレス推力 Max 98kN(10t)
加熱温度 Max 300℃
加熱速度 2.5分(60→180℃)
冷却速度 1.5分(180→60℃)

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 トータルソリューション事業部
ナノプリントソリューションセンタ [担当:根本、山崎]
〒101-8608 東京都千代田区外神田一丁目18番13号 秋葉原ダイビル
TEL : 03-4564-2523
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
TEL : 0294-52-7527

株式会社日立産機システム 受配電・環境システム事業部 生産統括部 [担当:須貝、坂上]
〒959-2608 新潟県胎内市富岡46-1
TEL : 0254-46-5640

以上

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