このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新のお問い合わせ先は、お問い合わせ一覧をご覧下さい。
2008年10月8日
センサの1チップ化と、プラスチック樹脂によるパッケージにより
小型化および低コスト化を実現
株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)は、このたび、ミリ波レーダ(77GHz帯)を用いた、自動車の絶対速度を正確に測定できる小型で低コストな車速センサ技術を開発しました。本技術は、波長数ミリメートルの電波(ミリ波)を地面に向けて照射することにより、地面に対する自動車の絶対速度を計測するもので、従来の車輪回転センサを用いて車輪の回転数から速度を計測する方式に比べて、スリップ時やブレーキ作動中のタイヤの回転が停止している状況でも計測が可能です。
また、今回、アンテナや回路設計の工夫により、ミリ波レーダの送受信部をアンテナも含めて1チップ化し、6.5mm×4.4mm×6.0mmの小型化を実現しました。さらに、測定範囲を近距離に限定したことにより、これまでのセンサでは、安定動作させるために必要であった専用モジュール構造の設計を不要とし、通常の半導体チップと同様のプラスチック樹脂によるパッケージでも、安定動作を確保できるようにしました。また、電波を収束する機能を持つ超小型のボール型レンズ構造を考案し、プラスチック樹脂で作製しました。これにより、ミリ波レーダの課題であった低コスト化を可能とするとともに、小型化にも成功しました。
1チップ化したレーダセンサの試作品を信号処理回路や電源回路などとともに実装した車載センサユニットを用いた走行実験では、測定誤差2%という結果を確認できました。本技術は、ABS*1やACC*2といった走行自動制御など、車速度に基づいて制御されるシステムの性能向上に寄与するとともに、今後は、車体の側面や後部など、運転席からは見えにくい範囲の衝突物を検知するための近距離車体周辺監視センサへの応用も期待できます。
近年、より安全で快適な自動車のニーズが高まるなか、ABSやACCといった、安全な走行を支援する走行制御システムの導入など、自動車の電子制御化が急速に進展しています。これらの電子制御システムの性能向上には、自動車に搭載される膨大な各種センサの高精度化、低コスト化が求められています。現在、自動車の速度計測には、車輪回転センサを用い、車輪の回転数から速度を計測する方式が用いられていますが、スリップ時やブレーキ作動中にタイヤの回転が停止している間は、速度が計測できないという課題がありました。
このような背景のもと、日立は、より安全な走行制御を支援するものとして、ミリ波レーダを用いることにより、ブレーキ作動中などのタイヤの回転が停止している間も自動車の絶対速度を正確に測定できる小型で低コストな車速センサ技術を開発しました。
今回開発したミリ波レーダを用いた車速センサ技術の詳細は以下の通りです。
測定範囲を近距離に限定し、回路規模の小型化を行いました。送受信部が接近することによって生じる、回路間における送受信信号の干渉などを防止するため、電磁界解析技術を用いて、安定動作する回路設計を行いました。
従来、高周波で動作するミリ波レーダは、パッケージ内部で送受信回路の信号の共振を避け、安定動作させるために、専用モジュール構造の設計が必要でした。今回、測定範囲を近距離に限定し、最適設計を行うことにより、通常の半導体チップに用いられるプラスチック樹脂パッケージに実装しても安定動作を可能としました。
高精度な測定を行うために電波を収束させる必要がありますが、今回、近距離の測定に適した超小型のボール型レンズ構造を考案しました。このレンズもプラスチック樹脂で作製し、簡便に実装することができます。
なお、本技術は、10月12日から米国で開催される化合物半導体集積回路に関する国際会議「2008 IEEE Compound Semiconductor IC Symposium」において発表します。
株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
TEL : 042-327-7777 (直通)
以上