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Hitachi

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2008年9月24日
株式会社日立製作所
Opnext, Inc.

次世代高速光通信(40ギガビット/秒)機器の省電力化に貢献する
非冷却半導体レーザを開発

伝送速度43ギガビット/秒で10kmの光ファイバー伝送に成功

  株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)とOpnext, Inc.(CEO:Harry Bosco/ 以下、オプネクスト)は、このたび、次世代高速光通信規格(40ギガビット/秒)に対応した光送受信機器の光源に用いられる、非冷却型の半導体レーザを新たに開発しました。従来の半導体レーザと比べて、冷却機構を不要としたことにより、装置の小型化・低コスト化が可能となるほか、光送受信機器の消費電力を10〜20%削減することができます。また、非冷却半導体レーザ光源において、40ギガビット光送受信を実証したのは、今回が初めて*1となります。

  近年の高速インターネット接続サービスの普及により、通信容量は1年半ごとに2倍の速度で増加しています。このため、これまで以上の高速・大容量のデータ伝送を実現する、光ファイバ通信網の拡充が進められています。一方、通信容量の増加に伴い、光通信用機器で消費される電力も急増しており、光通信用機器には高速化だけでなく、消費電力の低減も強く求められています。しかし、次世代の光通信規格である40ギガビット/秒の光伝送用の光送受信機器に用いられる従来の半導体レーザは、正常に動作可能な温度範囲が±5℃程度と非常に狭いため、冷却機構が必須で、その分消費電力が増加してしまうという問題がありました。このような背景から、日立とオプネクストは、次世代高速光通信(40ギガビット/秒)機器の省電力化に貢献する非冷却型の半導体レーザを開発しました。

  これまで、日立とオプネクストは、10ギガビット/秒の非冷却半導体レーザを製品化すると共に、本年2月には25ギガビット/秒の非冷却半導体レーザを試作し、12kmの光ファイバ伝送の実証実験に成功するなど、非冷却半導体レーザの実績を積み重ねて来ました。これらの開発で蓄積された技術をベースに今回さらに、次世代通信規格である40ギガビット/秒で動作する非冷却半導体レーザを開発しました。実証実験の結果、25℃〜85℃の広い温度範囲において、伝送速度43ギガビット/秒で10kmの光ファイバー伝送に成功しました。また、開発した非冷却半導体レーザは、冷却のための温度調整機構を不要としたことにより、40ギガビット向け光送受信機の小型化・低コスト化、省電力化に貢献するものです。

  本技術は、9月21日から25日まで、ベルギーのブリュッセルで開催されている、光通信ヨーロッパ会議「ECOC(European Conference on Optical Communication)2008」にて、日立とオプネクストの子会社である日本オプネクスト株式会社(取締役社長:沖 啓)が共同で発表したものです。

40ギガビット/秒で動作する非冷却半導体レーザ光源の詳細

(1) 1300nm帯EA変調器集積型半導体レーザによる43ギガビット/秒、10km伝送

  EA(Electro-absorption:電界吸収型)変調器は外部変調器の一種であり、レーザ光強度を直接変調する直接変調方式に対して、信号波形の劣化が少なく、高速・長距離の光ファイバー伝送が可能となります。日立とオプネクストは、従来から、このEA変調器と半導体レーザを一体化して集積した変調器集積型半導体レーザの開発に取り組んでおり、40ギガビット/秒の高速伝送が可能な製品を開発しています。しかしながら、既製品の動作波長は1550nm帯であり、この波長ではファイバー分散の影響により伝送可能距離が2kmに限られていました。このため、本開発ではファイバー分散の小さい1300nm帯で40ギガビット/秒の高速動作が可能な変調器構造を開発し、10kmの長距離伝送を可能にしました。

(2) EA変調器に広い温度範囲で動作可能なInGaAlAs材料を使用

  従来の変調器集積型半導体レーザでは、直接変調方式に比べて高速・長距離伝送が可能になる一方、正常動作できる温度範囲が±5℃程度と、非常に狭いという問題がありました。これは、EA変調器の光吸収波長が温度変化に対して大きく変動してしまうためです。今回開発した半導体レーザ光源では、EA変調器の材料に温度耐性の高いInGaAlAs(インジウム・ガリウム・アルミニウム・ヒ素)を用いることで、正常に動作できる温度範囲を拡大できました。また、この材料に適した半導体プロセス技術を開発し、従来製品である1550nm帯と同様の、変調器と半導体レーザが一体化された集積構造を実現しました。

*1
2008年9月24日時点、非冷却半導体レーザを使った1.3μm帯での伝送として。日立調べ。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
TEL : 042-327-7777 (直通)

日本オプネクスト株式会社 マーケティングセンタ プロダクトマーケティング部 [担当:江良]
〒244-8567 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地
TEL : 045-865-7000

以上

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