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2008年8月7日

電子機器内部の回路基板から筐体に流れる雑音電流の測定技術を開発

規制強化が進む電子機器の電磁波の抑制が可能に

  株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)は、このたび、電磁波発生の原因となる、電子機器の回路基板から筐体に流れる雑音電流*1を測定する技術を開発しました。本技術を電子機器の設計に応用することで、雑音電流の経路を初めて特定することができるようになり、電磁波を抑えた機器開発が可能になります。
  電子機器の回路基板で発生する雑音電流は、基板上の配線を流れ、基板の取り付けネジを介して機器の外側(筐体)に伝わり、電磁波となって外部に放射されます。そこで今回、取り付けネジから流れ出る雑音電流を測定するプローブ*2を新たに開発しました。本技術により、機器から発生する電磁波を抑制するための最適な取り付けネジの配置や個数など、今まで以上に電磁波を考慮した設計が可能になります。今後は、さまざまな電子機器の設計に本技術を適用し、より安心・安全な装置の開発に貢献していきます。

  電子機器内部の回路基板で発生した雑音電流は、基板上の配線から、基板の取り付けネジなどを介して機器の筐体に伝わる事で、電磁波となって放射されます。現在、隣接する機器がこの電磁波によって誤作動しないよう、業界団体の自主規制や各種法律によって電子機器の電磁波許容値が定められています。今後、電子機器の高性能化・集積化に伴い、電磁波を抑制する技術に対する需要は、ますます 高まっていくと予想されます。
  これまで、基板上の雑音電流の経路を測定する技術は良く知られていましたが、基板から筐体に流れる雑音電流の有効な測定手段がなく、機器全体の雑音電流の経路を特定することは、困難でした。
  このような背景から、日立は、電子機器内部の回路基板から筐体に流れる雑音電流を測定する技術を開発しました。

  なお、本技術は日立アメリカオートモーティブプロダクト研究所(所長:George Sikalis)と共同で開発したもので、米国デトロイトで8月18日から開催される「2008 IEEE International Symposium on Electromagnetic Compatibility」で発表されます。

開発技術の詳細

(1)基板-筐体接続部電流測定技術

  回路基板から筐体に流れる雑音電流の主要な経路は、基板の取り付けネジです。そこで、取り付けネジの部分に装着することで、基板から流れ出る雑音電流を測定するプローブを新たに開発しました。このプローブは、雑音電流の大きさを、その周りに巻き線を配置することで、誘起電圧*3として測定する技術を基に開発したものです。

(2)低雑音基板設計技術

  上記の技術を用いて電子機器を分析した結果、個々の回路部品が信号をやり取りするために必要な 信号電流が、雑音電流となり、基板から取り付けネジを介して筐体に流れ出ることを明らかにし、雑音電流の発生メカニズムを解明することができました。これにより、ネジ部において雑音を除去する基板構造を考案し、基板上で発生した雑音電流を筐体に伝えにくくすることにより、電磁波の放射を抑制する、低雑音基板設計技術を開発することができました。

*1
雑音電流 : 電磁波発生の原因となる電流であり、素子の動作に同期して発生する。
*2
プローブ : 厚さ約1mmの平面構造で、中央にネジの貫通穴を有する。測定時には、基板と筐体の間にプローブを挿入し、取り付けネジを貫通させて基板およびプローブを筐体に固定する。
*3
誘起電圧 : 雑音電流は、その周囲に磁界を発生します。この磁界中に巻き線を配置すると、その両端に電磁的結合により誘起電圧が発生します。この原理に基づいて雑音電流の大きさを、巻き線の誘起電圧として測定することができます。

今回開発したプローブ
今回開発したプローブ

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 生産技術研究所 企画室 [担当:鈴木、神田]
〒244-0817 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地
TEL : 045-860-1678 (直通)

以上

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