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Hitachi

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2008年7月9日

超音波を用いて金属内部の状態を
三次元で鮮明に映像化できる技術を開発

  株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)は、このたび、超音波を用いて、金属などを切断することなく、その内部の状態を三次元で鮮明に映像化できる「三次元超音波探傷システム」を開発しました。本システムは、高感度の超音波送受信回路を256チャンネル用いて、三次元で超音波ビームを走査することにより、数秒で厚さ200ミリメートル程度のものを三次元映像として表示することを可能にするものです。これにより、二次元で超音波ビームを走査して複数の画像から検査物を評価する従来の方式よりも短い時間で、金属などの内部全体を一括して検査することが可能になります。日立は今後、本システムを発電プラントにおける配管の保守作業などで利用していく予定です。

  超音波探傷技術は、金属などの検査物の中に入射した超音波の反射を用いて、ものを切断することなく内部の傷などを検査する技術です。従来は、金属などの内部の状態を検査するには、超音波の入射方向を変えながら反射波形を観測して検査を行い、検査物の内部を二次元画像で観測できる「フェーズドアレイ法」*1と呼ばれる方法が主流でした。「フェーズドアレイ法」は、医療分野で先行して発展してきた方法であり、超音波センサに組み込んだ多数の振動子*2の動作タイミングを電子的に制御することで、超音波ビームを任意の方向へ移動することや、任意の位置に超音波ビームの焦点を当てることを可能にし、検査物の内部を観測できるようにしたものです。しかし、「フェーズドアレイ法」では、検査物の内部全体を観測するには、超音波センサ自体を移動させ、複数の画像から評価する必要があったため、多くの時間を要するという課題がありました。
  そこで、日立は、「フェーズドアレイ法」を発展させた「三次元超音波探傷システム」を開発しました。このシステムでは、超音波センサを固定したまま、超音波ビームを三次元で高速に走査させ、その結果を三次元映像として表示します。これにより、厚さ200ミリメートル程度の金属などの内部状態を一括して検査できるようになり、検査の速度と信頼性を向上させることができます。

  今回開発した「三次元超音波探傷システム」では、検査対象に合わせた任意の三次元走査が可能であり、特定の領域だけを検査して三次元映像化することもできます。また、3D-CAD*3などの設計データと同時に表示することもできるため、複雑形状の検査対象でも、傷の位置や寸法を容易に評価することが可能です。各振動子の動作タイミングを制御する条件は、三次元走査の場合には複雑な計算が必要となりますが、このシステムでは3D-CADと連携した超音波伝播経路解析*4により容易に設定するこができます。また、一点に集束する超音波ビームを用いるため、従来の「フェーズドアレイ法」に比べ、検査精度が向上します。日立は今後、本システムを発電プラントにおける配管の保守作業などで利用していく予定です。

  なお、本内容は、7月10日から開催される、日本保全学会 第5回学術講演会にて発表します。

*1
フェーズドアレイ法 : 電気信号を超音波に変えるための素子を多数並べたセンサ(アレイセンサ)各素子から超音波を送信するタイミングを電子的にずらし、超音波の位相を制御することにより、超音波ビームの方向を自由に変化させることや、任意の位置にビームを集束させて走査することを可能にする技術。
*2
振動子 : 電気信号を超音波に変えるための素子。
*3
3D-CAD : 3-Dimensional Computer Aided Designの略。コンピュータ支援による三次元設計のこと。
*4
超音波伝播経路解析 : 超音波が伝播していく経路を計算機による数値計算で求めるもの。三次元超音波探傷システムでは3D-CADデータを元に計算を行う。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 電力・電機開発研究所 企画室 [担当:若林]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号
TEL : 0294-53-3111 (代表)

以上

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