ニュースリリース

遠隔位置検知技術を利用した留学生支援システムの実証実験を実施

位置検知情報を使った高精度での音声案内が可能に

  国立大学法人東京大学大学院新領域創成科学研究科相田研究室(以下、東京大学)と株式会社日立製作所(執行役社長：古川 一夫／以下、日立)は、このたび、専用の無線LAN端末を持った人を遠隔地からサポートし、目的地まで案内するサービスに必要な位置検知精度を評価するための実証実験を行いました。これは、東京大学が国際化推進計画における留学生支援の一環として進めているもので、専用の無線LAN端末を持った留学生の現在地を大学の担当者が遠隔からリアルタイムで確認し、その位置情報をもとに、担当者が会話を通じて留学生を目的地まで案内することを想定したものです。今回、大型商業施設である、ららぽーと柏の葉店(千葉県柏市)の協力のもと、同店のグルメ&フーズフロアに無線LAN位置検知システム「日立AirLocationII™」を設置して実証実験を行ったところ、同店から約2km離れた東京大学柏キャンパスにいながら、約3mの位置検知精度で端末の場所を特定し、あわせて歩行している方向も把握できることを確認しました。

  近年、国際化の潮流の中で、教育研究においても国際化が進んでおり、東京大学でも世界中から多数の留学生を受け入れています。しかしながら、言語や生活スタイルが違う国から来日している留学生にとって、買い物など日常生活に欠かせない活動を行う際には、不慣れによるストレスを感じる場面も少なくないことから、学業以外の様々な負担を極力少なくし、快適な学生生活を送れるよう大学がサポートすることも重要になっています。

  このため、今回、東京大学と日立は、店舗内にいる留学生が、探している店舗の場所や購入したい商品を販売している店舗が分からないなど、日常の買い物で遭遇する可能性の高い事例を想定し、案内に必要な店舗内での位置検知精度を評価するための実証実験を行いました。
  今回の実証実験の概要は、以下の通りです。

  サービスを受ける留学生が持つ無線LAN端末として、無線LANでの位置検知が可能で、かつ無線LAN経由での音声通話機能がある無線IP電話を採用しました。そして、ららぽーと柏の葉店のグルメ&フーズフロアに設置した、無線LAN位置検知システム「日立AirLocationII」から、インターネット網を経由して東京大学柏キャンパス内の研究室のサーバと接続します。これにより、東京大学柏キャンパスにいながら、ららぽーと柏の葉店内を移動する人が持つ端末の位置を、リアルタイムで把握することが可能です。
  今回の実証実験では、端末の位置検知精度が約3mと、遠隔から案内を行うのに十分な精度が得られており、あわせて歩行している方向も把握できることを確認しました。このことから、この位置情報を基に会話を通じて、詳細かつ具体的な案内を行うことが可能であると確認しました。

  今後、東京大学が提供を検討しているサービスによるサポートが必要な留学生は、まず、電話で東京大学の担当者にサポートの依頼をします。東京大学の担当者は、サーバの地図上に表示された留学生の位置を見ながら、電話を通じて、例えば「進行方向約30mの右側」など、あたかも案内する人がその場にいるように具体的な案内を行うことができます。また、留学生も、今回のシステムによる電話での案内を受けることで、スムーズに買い物ができると考えられます。
  本システムでは、無線LANに対応した無線IP電話を使用しているため、無線LANを使った位置検知と音声通話、さらにはデータ通信を一つの端末で行うことができます。そのため、留学生本人が地図を見ながら目的地にたどりつけるよう、現在地と目的地を表示した地図を端末に送付したり、店舗案内などの情報を配信する機能など、提供するサービスの拡張が可能なシステムです。
  屋外などの広域エリアでは、GPS携帯を用いた位置検知が利用可能ですが、本システムはGPSでの位置検知が難しい屋内での利用が可能なため、今回のような店舗や地下街など、生活に密着したさまざまなシーンにおけるナビゲーションへの適用が期待できます。

お問い合わせ先

国立大学法人東京大学大学院新領域創成科学研究科 [担当:相田]
千葉県柏市柏の葉5-1-5
TEL : 04-7136-3876

株式会社日立製作所 ワイヤレスインフォベンチャーカンパニー [担当:池濱]
〒101-8608東京都千代田区外神田一丁目18番13号 秋葉原ダイビル
TEL : 03-4564-4376 (ワイヤレスインフォベンチャーカンパニー代表)

以上