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2007年9月14日
独立行政法人理化学研究所
富士通株式会社
日本電気株式会社
株式会社日立製作所

次世代スーパーコンピュータのシステム構成を決定

世界最高性能のスパコン開発に挑む

ポイント

  • スカラ部とベクトル部を持つ複合システムでLINPACK10ペタフロップスを実現
  • 理化学研究所、メーカー3社(富士通株式会社、日本電気株式会社、株式会社日立製作所)で共同開発
  • 詳細設計を本格化させ、2012年完成を目指す

  独立行政法人理化学研究所(以下理研、理事長:野依良治)は、10ペタフロップス級の性能を持つ次世代スーパーコンピュータのシステム構成を決定しました。今後、このシステム構成をもとに、本格的に詳細設計を進めます。
  次世代スーパーコンピュータ・システムは、文部科学省が推進する「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクト*1(以下、次世代スーパーコンピュータ・プロジェクト)の一環として、理研の次世代スーパーコンピュータ開発実施本部(本部長:野依良治理事長)が中心となって、世界最高性能の達成を目指して開発を進めているものです。理研が検討し、文部科学省の評価を経た次世代スーパーコンピュータのシステム構成案について、総合科学技術会議による評価が終了したことから、その結果を受け、理研としてシステム構成を決定しました。開発は、理研と、富士通株式会社(代表取締役社長:黒川博昭)、日本電気株式会社(代表取締役 執行役員社長:矢野薫)、株式会社日立製作所(執行役社長:古川一夫)の3社が共同で実施します。
  今回開発するシステムは、スカラ部*2とベクトル部*3で構成する複合汎用スーパーコンピュータ・システムであるという特徴を持っています。最先端技術(45nm半導体プロセス*4、光インターコネクト*5など)を採用し、省電力、省スペースを実現するとともに、LINPACK*6性能10ペタフロップスの達成のみならず、アプリケーションの実行においても世界最高性能を目指します。

1.背 景

  文部科学省が進める「次世代スーパーコンピュータ・プロジェクト」は、2006年度に始まった事業です。総合科学技術会議が定める国家基幹技術である「次世代スーパーコンピュータ」の開発については、2006年9月に理研が概念設計を開始し、2007年4月にシステム構成案をとりまとめました。
  その後、理研のシステム構成案について、文部科学省における評価報告書が同年6月にとりまとめられ、また、これを受けて実施された総合科学技術会議による評価が終了したことから、理研としてシステム構成を決定しました。

2.システム構成の概要

  • LINPACK性能10ペタフロップスの達成のみならず、アプリケーションの実行においても世界最高性能
  • 先端技術(45nm半導体プロセス、光インターコネクトなど)により画期的な省電力、省スペースを実現
  • スカラ部とベクトル部から構成される複合汎用システム
  • 複雑系問題、多階層問題などシミュレーションの革新を先導する計算環境を提供
  • 次々世代以降の開発と利用を見据え、我が国の国際競争力を牽引

  詳細は別紙資料をご参照下さい。

3.システムの開発予定

  2009年度からの製造開始に向けて詳細設計を行い、2010年度の稼働、2012年の完成を目指しています。

4.全体の開発スケジュール

  次の図をご参照ください。

[画像]全体スケジュール

補足説明

*1
「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータ開発利用」プロジェクト
我が国の競争力強化に資するとともに、材料や医療をはじめとした多様な分野で社会に貢献する研究成果を挙げ、併せて継続的にスーパーコンピュータを開発していくための技術力を維持・強化していくことを目的として、文部科学省が2006年度から開始したプロジェクト。具体的には、

・世界最先端・最高性能の「次世代スーパーコンピュータ (注) 」の開発・整備 (注) 10ペタフロップス級
・次世代スーパーコンピュータを最大限利活用するためのソフトウェアの開発・普及
・次世代スーパーコンピュータを幅広く共同利用するための体制を整備することによる、柔軟性のある計算環境の提供
・次世代スーパーコンピュータを中核とする世界最高水準のスーパーコンピューティング研究教育拠点の形成

を同省のイニシアティブにより、開発主体である理研を中心に産学官の密接な連携の下、一体的に推進している。
計算科学技術は、理論、実験と並び、現代の科学技術の方法として確固たる地位を築きつつある。「次世代スーパーコンピュータ」は、計算科学技術のさらなる発展に貢献するものであり、第3期科学技術基本計画に基づく、長期的な国家戦略を持って取り組むべき重要技術(国家基幹技術)と位置づけられている。
*2
スカラ部
スカラ部では、CPUは汎用高性能マルチコアプロセッサをベースに、スーパーコンピュータ向けに世界最高レベルの高性能化と省電力化を実現するプロセッサを採用する。同時に、圧倒的なスケーラビリティ・高信頼性を持つ高性能インターコネクトや高効率冷却システムを採用する。
*3
ベクトル部
ベクトル部では、CPUは画期的な省電力と高い演算性能との両立を実現するために、制御構造が単純なベクトルパイプライン型アクセラレータを採用したプロセッサを採用する。同時に、運用の自由度が高い接続構成で、省電力かつ超高速・広帯域の光インターコネクトを採用する。
*4
45nm半導体プロセス
45nm半導体プロセスとは、LSI製造に適用する半導体プロセスの世代をあらわしており、次世代の微細加工技術である。
*5
光インターコネクト
電気信号に代わって、光で信号を伝送する技術。 次世代スーパーコンピュータでは、1信号あたり20Gbpsの速度と、高密度実装化で超高速の伝送性能を目指す。
*6
LINPACK
米国のテネシー大学のJ. Dongarra博士によって開発された行列計算による連立一次方程式の解法プログラムで、スーパーコンピュータの世界的な順位を示すTop500リスト(毎年6月と11月に発表)を作成するためのベンチマークとして用いられている。

お問い合わせ先

独立行政法人理化学研究所 次世代スーパーコンピュータ開発実施本部
企画調整グループ 企画調整チーム
川井 和彦(かわい かずひこ)
TEL : 048-467-9265 FAX : 03-3216-1883

以上

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