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2007年3月13日

高精細映像を100チャンネル同時に配信することが可能な
次世代光ネットワーク技術を開発

ギガビット光アクセス通信ネットワークを用いた放送通信融合時代の基本技術を開発

  株式会社日立製作所 中央研究所(所長:福永 泰/以下、日立)は、このたび、ギガビットの伝送速度を持つ光アクセス通信ネットワークGPON(Gigabit Passive Optical Network*/以下、GPON)を用いて、高精細画質(High Definition/以下、HD)映像を、100チャンネル同時に配信することが可能な次世代光ネットワーク技術を開発しました。本技術は、生活の利便性を享受できる放送通信融合時代における次世代ネットワーク(Next Generation Network/以下、NGN)技術の基盤となるものであり、従来は、データ量の多いHD映像を1ユーザあたり数チャンネルしか配信できませんでしたが、本技術により、複数のユーザ宅まで100チャンネル同時に配信できるようになります。本技術を用いることにより、例えば、家族の一人ひとりが複数のHD映像を自由に視聴することができるようになり、さまざまな画像の検索やHD映像で鮮明に映し出された商品をオンラインで注文することなどが可能になります。

  NGNは、インターネットプロトコル(以下、IP)を用いるインターネット通信方式を基本として、専用線、固定・移動電話、インターネットなどの既存通信網を融合して、新しいサービスを実現する次世代の通信方式の総称です。NGNによって実現される、各家庭で多くのチャンネルのHD映像を自由に視聴できるサービスは、放送通信融合時代を象徴する新しいサービスとしてユーザからの期待が高まっています。このサービスを実現するためには、大容量のHD映像データを各家庭まで伝送する高速伝送技術が必要であり、GPONが有望なのですが、GPONを用いてサービスを実現するためには、複数の家庭へ多チャンネルの映像を同時に配信するためのアーキテクチャ技術と、ユーザがこのサービスを利用する際の高速チャンネル切り替え技術が必要とされていました。
  そこで、今回、日立は、放送通信融合時代のNGNに向けた中核技術として、GPONの高速性を生かして、複数のユーザへ同じ映像を同時に配信するマルチキャスト機能により、映像信号を多チャンネル送信する技術と、ユーザが高速でチャンネルを切り替えることができる二つの技術を開発しました。技術の特長は以下のとおりです。

1. 多チャンネル映像配信技術

  通常のIPネットワークでは、複数のユーザが同時に視聴する映像データの配信にIPマルチキャストと呼ばれる方式が使われています。この機能と、GPONで使われている光の分岐によるマルチキャスト機能を生かして、多チャンネルの映像データを常時ユーザ宅まで配信する方式を開発しました。本方式では、IPマルチキャストチャンネルをユーザが視聴する、しないに関らず、予めユーザ宅内まで配信します。本技術により、分岐装置で光信号を各ユーザ宛に分配する特性と、GPONの毎秒2.4ギガビットという高速な伝送能力を生かすことで、インターネットのデータ通信や電話通信と同時に最大100チャンネルの映像配信を実現することできます。

2. 高速チャンネル切り替え技術

  従来のネットワークを利用した映像配信では、チャンネルの切り替えを行う際に、宅内の端末からプロバイダネットワーク内のマルチキャストルータへチャンネル切り替え情報を送信する必要があり、高速にチャンネルを切り替えることができないという課題がありました。今回、宅内装置のところまで多チャンネルの映像データを配信しておき、ここでチャンネルの選択を行うことにより、高速なチャンネル切り替えを実現することができます。

  日立では、今回開発したGPONを用いた映像配信技術を中核として、次世代ネットワーク時代の放送通信融合・連携システムの実現に向けた研究基盤を構築し、高機能な映像検索技術や情報端末向けのユーザインタフェース技術などの開発に取り組んでいきます。

  • * Gigabit Passive Optical Networkの略で、光ファイバを使用してギガビット(Gbit/s)の伝送速度を実現する国際標準の光アクセス通信ネットワーク。局側からくる光信号を複数のユーザに分岐するために光スプリッタ(光分岐装置)を用いる。

お問い合わせ先

株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:花輪、木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地
TEL : 042-327-7777(直通)

以上

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