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2006年10月5日

大都市圏の高速道路に適した高精度な交通状況予測技術を開発

渋滞が伝播する時間と距離を解析し目的地への所要時間を予測

  日立製作所日立研究所(所長:小豆畑 茂/以下、日立)ならびにザナヴィ・インフォマティクス(社長:沼田 修/以下、ザナヴィ)は、このたび、交通渋滞の伝播速度を解析することで、数分から数時間程度先の短期的な交通状況の変化を高精度に予測する技術を開発しました。本技術は、高速道路上で発生した渋滞が、どのくらいの時間をかけて、どの程度の距離まで伝播するかを、路上センサから得られる過去の交通情報データから予め分析し、渋滞の影響範囲を高精度に予測するものです。
  本技術により、交通量の変化が大きく、渋滞発生が過去の統計データから予測できない道路区間でも、近隣の道路区間における交通渋滞が伝播する時間を考慮して、今後の渋滞発生を予測することが可能となり、所要時間の予測誤差を従来法に比べ最大で50%以上改善する効果があることを確認しました。
  今回開発した技術は、交通量のわずかな変化で渋滞状況が大きく変化する大都市圏の高速道路の混雑予測に適しており、本技術を高速道路利用者へ提供することで、渋滞回避による快適性や燃費の向上、道路環境の負荷低減などが期待されます。

  数分から数時間程度先の交通状況の変化を予測するには、渋滞の伝播現象を用いるのが一般的です。渋滞伝播とは、ある道路区間で発生した交通状況が、周辺の道路区間へと波及する現象であり、すでに理論的な解明がなされています。しかし、この理論を交通状況予測技術として実用化するには、道路の各地点における交通密度を詳細に計測する必要があるため、広域な道路情報サービスへの応用は困難でした。そのため、従来の予測サービスでは、交通状況の時間的変化、あるいは渋滞伝播による渋滞箇所の位置変化の、いずれか一方のみにしか着目しておらず、近隣の道路区間からの渋滞伝播を反映できないこともありました。例えば、30分後の交通状況の変化を、現時点における周辺道路区間の交通状況から予測したとしても、その渋滞が30分で伝播するのでなければ、その情報が予測に寄与することはなく、このような場合に高精度な予測情報を得ることは困難です。これは、渋滞伝播に要する時間の長さを考慮せずに、渋滞の位置関係だけで予測をしようとしているためです。

  そこで、今回、日立とザナヴィは、交通状況予測モデルに、渋滞伝播速度をパラメーターに加えることで、交通状況の時間の変化と位置変化を結びつけ、予測情報の高精度化を達成しました。開発技術は、以下の通りです。

  • 1. 主要な高速道路の交通情報データの分析を行った結果、渋滞の伝播速度は道路区間ごとに、それぞれほぼ一定であること、また、各道路区間の交通状況は、その伝播速度を考慮して、周辺区間ごとに特定の時刻における交通状況を重ね合わせることで、今後の交通状況を表せるという近似則を見出しました。
  • 2. 高速道路上で発生した渋滞がどのくらいの時間をかけて、どの程度の距離まで伝播するのか、過去の交通情報データから予め分析し、実際に渋滞が発生した場合に、1の近似則に当てはめて影響範囲を類推することによって、その後の渋滞発生・解消を予測する技術を開発しました。

  なお、この成果は、10月8日からロンドンで開催される第13回ITS世界会議(ERTICO主催)において発表します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 日立研究所 企画室 [担当:鈴木]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
TEL : 0294-52-7508(直通)

以上

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