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2006年9月20日
株式会社日立製作所

一般のビデオカメラで撮影した人物の顔画像から視線方向を
特定する技術を開発

不特定かつ複数の人物の視線方向を特定することが可能に

   株式会社日立製作所中央研究所(所長:福永 泰/以下、日立)は、このたび、一般のビデオカメラで撮影された人物の視線方向を特定する技術を開発しました。従来の視線方向計測システムでは、特殊なカメラを用いて人物を撮影するほか、被験者が決められた方向を見ているときの目や顔の画像サンプルを事前に計測システムに登録しておく必要がありました。今回、開発した技術は、一般のビデオカメラの画像から、被験者の顔情報の事前登録なしに、視線方向を特定することができます。これにより、様々な場所、用途への展開が可能となり、例えば、建物内においてどのような表示や広告が人の目につくのか、店舗内のどの商品が最も注目されているのかというマーケティングでの活用や、視線の動きを解析して不審な人物を検知するシステムなど、様々な応用が期待できます。

   近年、監視システムなどのセキュリティでの利用や、ロボットやコンピュータと人間との対話などを目的として人間の行動を認識する技術の重要性が高まっています。その中で、特に「視線」の動きは人物の心理状態を顕著に表すといわれ、視線方向を特定することで、人の行動を分析する技術への関心が急激に高まっています。視線の方向を特定するには、従来、指定した方向を見ているときの目や顔の画像をサンプルとして事前に被験者ごとに登録しておく必要があったため、対象とされる人物が限定、応用範囲が限られていました。また、その撮影には、角膜からの反射光を撮影する赤外線カメラ、もしくは頭部を立体的に撮影するステレオカメラ*1などの特殊なカメラを用いる必要がありました。
   今回、開発した技術は、被験者の頭部と眼球の形状を近似したモデルに基づいて、顔の向きと目の向きの角度を計測して、それぞれの角度の和を算出することで視線方向を特定するもので、一般のビデオカメラでの利用ができ、また顔画像サンプルの事前登録が不要なため、従来の計測システムでは不可能だった不特定かつ複数の人物の視線方向を特定することが可能となりました。

   新たに開発した水平の視線方向計測技術の特長は以下の通りです。

  • (1) 顔の向きをカメラがある方向からの水平角度として計測した後、目の向きを顔正面方向からの水平の角度として計測し、両者を足し合わせることで視線方向を特定します。
  • (2) 顔の向きは、画像中から人物の頭部全体と目や鼻などの顔器官の位置を検出し、これらの位置関係を楕円形の頭部モデルに当てはめることでカメラ方向を基準にした角度として計測します。
  • (3) 目の向きは、画像中から目の領域全体と黒目の位置を検出し、これらの位置関係を眼球のモデルに当てはめることで顔正面方向からの角度として計測します。

   今回、開発した技術の計測精度を確認するために、10人の人物に対して、ビデオカメラがある方向を0度として水平方向30度までの視線方向の計測実験を行った結果、平均誤差±3.3度となることを確認しました。これは、例えば、1.5m離れた地点では左右9cmの誤差に相当します。したがって、1.5m離れた位置にある20cm以上の対象物なら、どれを見ているかを特定することが可能な精度となります。

   なお、本成果については、2006年8月31日から9月1日に社団法人中央電気倶楽部(大阪)で開催される2006年映像情報メディア学会年次大会にて発表しました。

*1
2つのカメラが一定間隔で並んでいる1対のカメラです。それぞれのカメラで得られたアングルの異なる2枚の画像から、画像上の各位置の奥行き情報を得ることができ、立体的な撮影ができます。

お問い合わせ先

株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:花輪、木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 : 042-327-7777(直通)

以上

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