このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新のお問い合わせ先は、お問い合わせ一覧をご覧下さい。
2006年9月12日
歩く人の間を縫って人込みの中を移動するロボット技術を開発
日立のロボットEMIEWに搭載して複数の人とすれ違う動作確認に成功
株式会社日立製作所 機械研究所(所長:福本 英士/以下、日立)は、このたび、人込みの中でも、歩く人の間を縫って移動できるロボット技術(移動障害物回避技術)を開発し、日立のロボットEMIEW*1に搭載して、複数の人と衝突することなく、すれ違うことのできる動作確認に成功しました。今回開発した技術では、人間の感性に合わせて、複数の人とすれ違う動作をロボットの制御技術に初めて取り入れ、人とのすれ違いを違和感なく実現しています。本技術は、ロボットが人と共存し、人を支援するための必須技術であり、商業ビルやホテルなどの施設で案内サービスを行うサービスロボットの技術として広く利用されることに道を拓くものです。
なお、本技術を搭載したEMIEWは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(理事長:牧野 力/以下、NEDO技術開発機構)の委託事業「次世代ロボット実用化プロジェクトプロトタイプ開発支援事業」の一環として、日立が2005年に開発しました。
日立では、これまで人と共存し、人をサポートする「人間共生ロボット」をめざしてロボットEMIEWを開発し、ロボット技術のさらなる高度化を進めてきました。人間共生ロボットには、暮らしの中で人々と協調して活動することが求められ、固定された障害物ばかりでなく、歩く人のように移動する障害物にも衝突することなく、目的地に到達することが必要です。そのために、自律移動するロボットが、自分で周囲の人を見つけ、人の動きを推定して衝突や接触を回避する動作を行うことが必要になります。さらに、人込みのように複数の人がいる場合には、複数の移動する障害物を対象とする高度な移動障害物回避技術が必要となります。
このような背景から日立では、このたび、人の感性に合わせて、人とすれ違う動作をロボットの移動制御に取り入れて、歩く人の間を縫って人込みの中を移動できるロボット技術の開発に成功しました。開発した技術の特長は次のとおりです。
1.人の感性に合わせてすれ違うことのできる動作の導入
- 人がロボットとすれ違う場合に違和感を持たないように、人のすれ違う行動パターンをロボットの移動制御に取り入れました。人の動き(位置と速度)を検出し、人の周りに一定の距離を持った円を想定し、この円にロボットが接するような最短距離の道筋を選ぶ、という方法をとっています。
2.人の動きの確実な検出
- ロボットEMIEWは、障害物の検出にレーザを用いた距離センサを使用しています。人の2本の足までの距離を毎秒約40回測定することにより、人の位置と速度を正確に検出しています。
3.人の動きの変化に対応できるすれ違い動作
- 人が歩行途中で速度を変えたり、また、新たな人が現れたりする人込みの状態に対応するために、障害物の検出、新たな道筋の作成、という手順を繰り返し行います。この手順の時間間隔は、約0.5秒ごとに行っており、人の歩行動作の単位である一歩に要する時間(約0.5秒)と同じであり、人の動きの変化に追随できる速さです。
この技術による障害物回避機能をロボットEMIEWに搭載し、実際に人とすれ違う動作をさせ、8mの経路の中で人の通常の歩行速度である最大秒速1.2m(時速約4.3km)で歩く4人の間をロボットが秒速0.8m(時速約2.9km)の速度で滑らかにすれ違うことを確認しました。
なお、この成果の一部は筑波大学-日立連携事業実施協定の一環として推進している、坪内教授、油田教授らの研究グループと、日立の共同研究の成果を活用したものです。本技術は、2006年9月14日より岡山県岡山市 岡山大学津島キャンパスで開催される「第24回日本ロボット学会学術講演会」で発表します。また、本技術を搭載したロボットEMIEWのデモンストレーションを2006年10月23日より神奈川県横浜市 パシフィコ横浜で開催される自動車技術の国際会議「FISITA*2 2006 World Automotive Congress Yokohama」で実施します。
- *1
- Excellent Mobility and Interactive Existence as Workmate
- *2
- The Fédération Internationale des Sociétés d’Ingénieurs des Techniques de l’Automobile (International Federation of Automotive Engineering Societies)
お問い合わせ先
株式会社日立製作所 機械研究所 企画室 [担当:秋葉]
〒312-0034 茨城県ひたちなか市堀口832番地2 日立システムプラザ勝田
電話 : 029-353-3047(直通)
以上
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated(アドビシステムズ社)のAdobe(R) Reader(TM)が必要です。