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目的地への経路を見つけて移動する
屋内監視向けカメラロボット技術を開発
必要な時に状況確認をしたい場所へ移動させ、異常発生箇所の詳細監視が可能に
日立製作所基礎研究所(所長:長我部信行/以下、日立)は、このたび、オフィスや店舗などの屋内で、目的地点を指示するだけで自動的に経路を見つけて移動し、確認したい箇所を撮影した映像をネットワーク経由で送信する監視用カメラロボット技術を開発しました。このカメラロボットを必要な時に状況確認をしたい場所へ移動させることにより、設置型カメラの死角となる部分でも容易に確認でき、また異常発生箇所の状況を詳細に把握できるなど、よりきめ細かな監視が可能になります。
今回開発したカメラロボットは、屋内を移動しながら搭載された距離センサを用いて周辺の物体を検知し、地図を自動的に作成することが可能です。さらに、この地図を使って自分の現在位置を平均誤差2cm以下の精度で把握して目的地までの経路を自動的に算出します。このため、ロボットの位置を特定するための計測機器やロボットの移動経路を明示するための床への目印などが不要であり、屋内のレイアウトが変更されても柔軟に対応することができます。また、移動しながら撮影した映像に画像処理を施し、前回の撮影時との差異を容易に検出することもできるため、監視作業の効率化が可能になります。
近年、セキュリティ強化の必要性が急速に高まっており、カメラ映像を遠隔地で確認する映像監視システムがさまざまな場所で使われるようになってきています。従来、映像監視システムで利用されているカメラの多くは、天井などに取り付ける設置型カメラで、回転台を使った撮影方向の変更や、ズームレンズを使った映像の拡大や縮小はできるものの、カメラ位置が固定されているため限られた視点からの映像情報しか得ることができませんでした。一方、多数のカメラを至る所に設置することで死角となる領域を減らすことは可能となりますが、コストや設置場所の制約の観点から現実的なものではありませんでした。
このような背景から、日立では、必要な時に見たい場所へ移動させることのできる屋内監視向けカメラロボット技術を開発しました。
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屋内監視向けカメラロボット技術の特長 |
1. 距離センサを用いた監視エリア地図の自動作成と更新技術
屋内を走行しながら、ロボットに搭載された距離センサ*1を使って周辺の物体を検知し、監視エリア全体の地図を自動的に作成します。さらに、移動している時にも周辺の物体の配置変更を検知し、自動的に地図を更新します。
2. 目的地への経路を自分で見つけて移動するインフラレス*2自律移動技術
自動作成した監視エリア地図と、距離センサで得られるデータを照らし合わせることで、エリア内の自分の位置と姿勢を認識します。幾何情報処理技術*3と統計的手法を応用し、高速かつ高精度な認識を実現しています。監視エリア地図と現在の位置を正確に把握していることを基に、指示された目的地点に対し効率的な移動経路を算出します。 移動時には、位置姿勢認識処理を高速に繰り返し行い、その結果に基づき移動方向を逐次修正していくことで、経路どおりの極めて高精度な位置制御を実現しています。
3. 画像処理技術を応用した異常検知技術
巡回監視時に以前の監視映像との差異を異常として自動検知する技術です。極めて高精度なロボットの位置制御技術により以前と全く同じ地点から撮影するのと同時に、カメラの向きがずれていても画像処理で補正を行い、的確に異常を検知することが可能です。
なお、本成果は3月7日より、工学院大学で開催される「情報処理学会第68回全国大会」で3月8日に発表する予定です。
*1 |
レーザを用いて距離を測定するセンサを利用しています。原理は、ある方向にレーザを発し、それが跳ね返ってくる時間を計って、距離を算出するものです。 |
*2 |
ここではロボット位置を特定するための計測機器や、ロボットの移動経路を明示する目印といった特別な設備(インフラ)を、監視対象となる部屋に準備しておく必要がないことを意味しています。 |
*3 |
図形を回転・移動させる、あるいは3次元のモデルから2次元の画像データを作成する、といった幾何学的な操作を、コンピュータの演算処理により数理的に行う技術です。 |
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お問い合わせ先 |
株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室
[担当:花輪、木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 : 042-327-7777 (直通)