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排出権の先物価格と連動した債券の発行について
株式会社日立製作所(執行役社長:庄山 悦彦)の金融子会社であるHitachi International Treasury Ltd.は、このたび、野村證券グループのシンガポール現地法人であるNomura Singapore Limitedと共同で、欧州で取引されている排出権の先物価格に連動した債券を開発し、本日(2月27日)発行しました。排出権の先物価格と連動した債券を開発、発行するのは初めてになります。発行する債券は、排出権の価格変動を債券償還時の償還金額に反映させる仕組み*になっており、償還時の排出権の価格が発行時の価格より高ければ発行額より高い償還額で償還され、発行時の価格より低ければ発行額より低い償還額で償還されます。
今回の債券発行は、排出権取引市場の形成による低利での資金調達の可能性の追求や排出権取引市場におけるマーケットノウハウの習得などを目的とした試験的なものです。
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計算代理人はソシエテ・ジェネラル証券が行っています。 |
日立グループでは、2004年度は約50億円の省エネルギーのための投資を行い、CO2や温室効果ガスの排出量を26万キロリットル(原油換算)削減するなど、地球温暖化防止に取り組んでいます。特に地球温暖化の主要因とされているCO2の排出量削減のため、コ・ジェネレーションシステムの導入による熱利用や加熱装置の更新、空調の設定温度の見直しによる燃料使用量の削減をはじめ、さまざまな努力を進めています。
しかし、一方で市場が拡大しているデジタル家電製品やコンピュータ機器に用いる電子部品の製造にはCO2の排出が避けられず、また、長期的に見れば地球温暖化への規制が厳しくなることが予想されるため、排出権等の環境関連コストをヘッジする必要性が高まるものと考えられます。
排出権取引制度は、汚染物質の排出量の上限を各国(もしくは事業所)ごとに設定し、上限を超えた国(事業所)は上限に達していない国(事業所)から余剰分を買い取ることが出来る制度で、1997年12月に締結された京都議定書でも、二酸化炭素の排出権取引が地球規模で温室効果ガスを低減できる削減対策の一つとして位置付けられています。既に開設されている欧州の排出権取引市場での取引価格は、当初、1トンあたり10ユーロであったものが、2006年1月末で25ユーロを突破するなど、市場も徐々に活発になっており、今後はさまざまな手法を用いたリスクヘッジが可能であると見られています。今回発行する債券は、その準備段階に当たります。
日立では、2004年6月よりデリバティブ(金融派生商品)を利用した原油価格のヘッジも開始しており、今後も将来予想されるさまざまな事業リスクを、金融手法を用いてヘッジするための試みを実施していきます。