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2005年10月26日

小規模医療機関で患者の臨床検査結果を迅速に得られる装置を発売

ウェット試薬カートリッジの採用で汎用自動分析装置とのデータ互換性を確保

 

  日立製作所 パーソナル・ヘルスケアベンチャーカンパニー(カンパニー長&CEO:三巻弘/以下、日立)は、診療にあたり、患者の臨床検査をその場で迅速に実施できる卓上型の自動分析装置「日立クリニカルアナライザーS40」を開発し、発売します。本装置では、試薬保存、化学反応、分析計測などの複数の機能を一つに集約させた、100円硬貨大の試薬カートリッジを採用することによって、診察時に必要とされる臨床検査データを簡単かつ短時間に得ることができます。

  近年、生活習慣病の予防や治療に対する意識が高まり、日常生活での疾病の早期発見と早期管理が重要になってきています。そのため、診療所、クリニック、病院の外来、救急、手術室など医療の第一線の場で、血糖やコレステロールに代表される患者の臨床検査をその場で迅速に実施する必要性が高まっています。しかし、従来から小規模な病院や診療所では、臨床検査の大部分は外部の検査センターに委託していたため、患者から採取された検体の検査データを得るのに時間がかかり、臨床検査データの診療への反映が迅速に行えないという問題点がありました。

  そこで日立は、患者の臨床検査をその場で迅速に結果を得ることのできる「日立クリニカルアナライザーS40」を開発し、発売します。本装置は、一人の患者に対して最大40項目までの臨床検査を同時に実施することができ、検査1項目あたりの平均検体量は、10マイクロリットル(1ミリリットルの100分の1)と微量であり、約15分で結果を得ることができます。これによって、従来は設備の整った病院でのみ可能であった検査を診療所でも実現することができます。
  また、「日立クリニカルアナライザーS40」の大きな特徴は、試薬カートリッジにウェットケミストリー(溶液試薬)を採用したことです。従来から、診療所などで実施される簡易検査は、ドライ方式と呼ばれるものが主流でしたが、医療機関の連携が進むにつれて、大規模病院との臨床検査データの互換性が重要視されてきています。そのため、「日立クリニカルアナライザーS40」は、大規模病院の汎用自動分析装置に使われているウェットケミストリーをそのまま使用することによって、同一の反応原理に基づく信頼性の高いデータを提供することができます。これにより、大規模病院で再度同じ検査を受ける必要がなくなり、治療が円滑に次の段階へ進められるようになります。さらにウェットケミストリーの効果として、すでに汎用自動分析装置用に開発されている測定項目を、容易に「日立クリニカルアナライザーS40」に適用することが可能であり、幅広い測定可能メニューを揃えることができます。試薬カートリッジの価格は、従来のドライ方式と同等以下となる見込みです。

  「日立クリニカルアナライザーS40」は、診療所やクリニックへの販売だけでなく、今後測定可能メニューを拡充することによって、病院においても特殊検査や緊急検査に用途が広がると考えられます。また、動物病院用の製品も市場に投入する予定です。
  なお、「日立クリニカルアナライザーS40」の装置価格は1,995,000円(税抜:1,900,000円)で販売し、装置の出荷は2006年1月より開始する予定です。

左:日立クリニカルアナライザーS40 右:ウェット試薬カートリッジ
 
 
 

以上

 
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