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毎秒1ビットあたり3ナノワットの超低電力UWB無線通信を用いた
センサネット向け通信方式の原理実験に成功
通信速度10Mbpsで通信距離10mの通信性能を実証
日立製作所(執行役社長:庄山悦彦/以下、日立)は、このたび、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(所長:坂村健)と共同で、携帯電話の電波よりも100倍以上も広い周波数帯域を利用して送受信を行う、UWB(Ultra Wideband:超広帯域)無線通信を、センサネット用として、超低電力で用いることに成功しました。
本方式は、センサネット用無線技術として注目されているIEEE標準に提案している方式であり、このたび、毎秒1ビットあたり3ナノワット(ナノは10億分の1)という超低電力無線送信、並びに通信速度10Mbpsで通信距離10m、250kbpsで30mの通信性能を実証するとともに、測位精度30cmの位置検出を実現できることをシミュレーションにより確認しました。
センサネットは、人やものなどの状態を常時直接感知して、情報センターに送信し、状況に応じた適切なオペレーションを行うサービス基盤であり、ユビキタス情報社会には欠かせない社会インフラとなる技術です。例えば、生産設備の運転状況を管理元に送信し、異常の早期発見、早期対策を図れるようにして、効率的な生産システムの構築を可能にすることや、室温、湿度などのデータを外出先から確認し、空調機器等を遠隔操作することによって、帰宅時に室内を快適な環境に設定できるようにすることなどに応用できます。これらを実現させるためには、センサネット環境で使用する、センサ、信号処理、通信という三つの機能を備えた端末(センサノード)をメンテナンスフリーで長期間に渡って利用することが必要で、バッテリ寿命を気にしないほどの超低電力の動作性能が必要になります。特に、センサノードにおいて、電力消費の多い無線通信部の低電力化は必須の技術です。
そこで注目されているのが、通信容量が大きく、ビットあたりの消費電力が格段に小さくなるUWB無線通信方式です。米国電気電子学会(IEEE:Institute of Electrical and Electronic Engineers)の802委員会作業グループ15タスクグループ4a(IEEE802.15.4a)においては、低消費電力通信や高精度測距・測位機能を実現する比較的低速な無線PAN(Personal Area Network)の方式として、UWB無線通信方式の標準化を行っています。日立製作所およびYRPユビキタス・ネットワーキング研究所も、IEEE802.15.4aにおける標準化作業に参加し、UWB通信方式を用いたセンサネットの方式を評価しています。今回、IEEE802.15.4a標準に提案している方式を評価するため、通信原理実験を行い、以下の内容を確認しました。
(1) |
UWB-IR(Ultra Wideband-Impulse Radio)方式による送信装置および受信装置を開発し、通信速度10Mbpsで10m、250kbpsで30mの通信性能を確認しました。 |
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0.18um CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセス技術を用いて送信RF(Radio Frequency)部のLSI(Large Scaled Integrated circuit)を試作し、送信時のLSI消費電力が最小3nW/bpsであることを確認しました。 |
(3) |
UWB技術を利用して通信と同時に位置検出を可能とする技術を提案し、見通し領域で30cmの測位精度をシミュレーションにより確認しました。 |
今後は、IEEE802.15.4a標準化を推進するとともに、標準化準拠のUWB通信LSIの早期開発を目指します。なお、本内容は、9月20日から北海道で開催される「電子情報通信学会ソサイエティ大会」で発表しました。
| | お問い合わせ先 |
株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:内田、木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 : 042-327-7777 (直通)