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2005年9月20日
東北大学電気通信研究所
株式会社 日立製作所

高出力TMR素子を用いて
室温環境下で世界最高の低電流電気的磁化反転に成功

次世代大容量MRAMの実現に新たな道を拓く

 

  東北大学電気通信研究所(所長:伊藤弘昌/以下、東北大)大野英男教授と、日立製作所基礎研究所(所長:長我部信行/以下、日立)のグループは、このたび高出力金属系トンネル磁気抵抗(TMR)素子*1を用いて、室温において世界で最も低い105A/cm2台の電流密度で、電流を素子に流すことにより磁石の反転を起こす電気的磁化反転*2を実現しました。本研究成果は、次世代の大容量MRAM*3(Magnetoresistive Random Access Memory)の実現に不可欠な磁気情報の書込み電力を大幅に低減し、かつ高出力読出しも同時に可能とするものであり、高集積・高速・超低消費電力の次世代超ギガビット級MRAM開発に新たな道を拓くものです。
  なお、本成果は、文部科学省の研究開発委託事業「ITプログラム」の課題の一つである「高機能・超低消費電力メモリの開発」プロジェクト(プロジェクトリーダー:大野英男、東北大学電気通信研究所付属ナノ・スピン実験施設教授)において実施されたものです。

  MRAMは、TMR素子を用いて記録/再生を行う高集積・高速・低消費電力化が期待される不揮発性メモリ(RAM)であり、現在国内外の企業によりメガビット級MRAMの実用化に向けた開発が進められています。今後、さらに、将来のギガビット級のMRAMの実現に向けた大容量化・低消費電力化を実現するためには、いくつかの解決すべき課題があります。なかでも磁気記録情報の書き込み電流(電力)を低減するための技術開発は大きな課題であり、ギガビット級MRAMの実現のためにはTMR素子の書込み電流密度が106A/cm2以下を達成する必要がありました。しかし、これまで観測されたTMR素子の書き込みのための電気的磁化反転に必要な電流密度は、106A/cm2台以上であり、低電流電気的磁化反転の実現は達成できていませんでした。

  このような背景から、東北大大野教授と日立の研究チームは、105A/cm2台の電流密度により電気的磁化反転を可能とするTMR素子の開発に成功しました。開発したTMR素子の特徴は以下の通りです。

(1)TMR素子は、強磁性膜*4/絶縁膜/強磁性膜の三層構造で形成されていますが、酸化マグネシウムを絶縁膜に、コバルト鉄ボロンを強磁性膜に採用し、高いトンネル磁気抵抗比を実現することによって、電気的磁化回転の駆動力の増大を実現しました。これにより、しきい値電流(磁化反転させるのに必要な電流)の低減が可能となりました。

(2)TMR素子の記録層に磁石の強さが弱く体積の小さいコバルト鉄ボロンを適用することにより、記録層の磁化回転に必要なエネルギーを低減し、磁化回転を起こりやすくしました。

  この結果、しきい値電流密度8.8×105A/cm2台の電気的磁化反転に成功し、かつ従来の酸化アルミニウム酸化物を絶縁膜に用いたTMR素子の最大5倍の高出力をあわせもつ特性を得ることに成功しました。
  本研究成果は、次世代の大容量MRAM実現に不可欠な磁気情報の書込み電力を大幅に低減し、かつ読出し信号の高出力化も可能とするものであり、高集積・高速・超低消費電力の次世代超ギガビット級MRAM開発に新たな道を拓くブレークスルー技術です。

  なお、本成果は、9月19日から信州大学(長野市)で開催されている応用磁気学会第29回学術講演界にて発表するとともに、Japanese Journal of Applied Physicsに掲載される予定です。

 

用語説明

 
 
*1 トンネル磁気抵抗(TMR)素子
  トンネル磁気抵抗素子は強磁性膜/絶縁膜/強磁性膜の三層構造で形成され、検出読出電流は膜の積層方向に垂直に流す。磁石である2つの強磁性膜の磁石の向きが平行の状態と、反平行の状態で電気抵抗が大きく変化する現象をトンネル磁気抵抗効果と呼び、平行状態の電気抵抗値に対する上記の電気抵抗の変化量の比(%)を磁気抵抗比と呼ぶ。磁気抵抗比は磁界を印加しながら、片側の強磁性膜の磁石の向きを変化させ、そのときのTMR素子の電気抵抗を測定することにより観測する。
*2 電気的磁化反転
  通常、磁石(磁化)の反転(磁石のN極とS極の向きを反転すること)は、外部から磁界を印加することにより起こるが、電気的磁化反転は1996年米国の理論研究者により提唱された磁化反転現象であり、電流を素子に流すことにより磁石の反転が起きる。電気的磁化反転はこれまでに多くの素子において確認されてきた。TMR素子の2つの強磁性膜の磁石(磁化)の方向が平行のとき、電流をTMR素子の上から下(正方向)へ電流を印加すると、磁石(磁化)の配列は反平行へスイッチする。電流方向を逆にすると、反平行から平行のスイッチがおき、電気的に磁化反転する。
*3 MRAM
  TMR素子を用いて記録/再生が可能な高集積・高速・低消費電力化が期待される不揮発性メモリ(RAM)。TMR素子への磁気的情報の書込みは、メモリを構成する配線に電流を流すことで空間的に発生する磁界も用いて行われる。この磁界により、片方の強磁性膜の磁石(磁化)の向きだけを反転させ、たとえば上下の強磁性層の磁化の向きが平行、反平行の状態をそれぞれ"0"の情報、"1"の情報とする。磁気的情報の読み出しは、情報"0"、"1"に応じて変化するTMR素子の抵抗を検出し、低い電気抵抗状態(平行"0"状態)か高い電気抵抗状態(反平行"1"状態)のどちらの状態にあるか識別することによって行う。
*4 強磁性膜
  強磁性とは磁石に吸いつくような強い磁気的な性質。このような性質を示す物質を強磁性体と呼び、鉄、コバルト、ニッケルなどがある。強磁性膜は、強磁性体を薄く形成した膜。
 
 

お問い合わせ先

株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:内田、木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 : (042)327-7777 (直通)

 
 

以上

 
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