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3次元の地図上で
堤防の決壊や河川の氾濫による洪水の様子を可視化
50メートル四方単位での洪水シミュレーションを開発
株式会社日立製作所中央研究所(所長:福永泰)、財団法人日本気象協会首都圏支社(支社長:嶋健一)は、3次元の地図上で、堤防の決壊や河川の氾濫による洪水の様子を可視化する洪水シミュレーション技術を開発しました。本技術は、パソコンを用いて、日本全国の地域で、50メートル四方単位の精度で洪水のシミュレーションを実行することができます。日立製作所中央研究所と日本気象協会首都圏支社では、本技術を用いて行った洪水シミュレーションの結果と、洪水被災地の現地調査の結果とを比較して、この両者が非常に近いことを確認しており、本シミュレーションは、実用性が高いものであると考えています。
本成果は、日本全国の地理情報システム(GIS:Geographic Information System)データに対応しており、台風や大雨によって発生することが予想される水害について、地域毎の地理情報に対応した予測を可能にするものであり、洪水発生時の行動計画などを立案する自治体の防災業務に寄与するものです。
なお、今回開発した洪水シミュレーション技術は、株式会社日立エンジニアリングサービス(取締役社長:矢内勝也)が製品化をすすめており、2006年度から販売を開始する予定です。
昨年、頻発した洪水被害は、日本各地の生活や産業に甚大な影響をもたらしました。これまでの記録を上回る集中豪雨に見舞われた地域も多く、洪水対策は急務となっています。本年7月1日には改正水防法が施行され、各都道府県における洪水予報の実施や、浸水想定区域ごとに洪水予報の伝達や避難場所等を市町村防災計画に定める制度が新たに創設されるなど、水害対策が進められています。中でも、洪水ハザードマップ(被害予測地図)は、水害発生時における住民の迅速かつ円滑な避難行動や、日ごろからの防災意識の向上に役立つものとして、多くの自治体がその作成に注力しています。改正水防法においては、特に、比較的水害対策が進んでいるといわれる大規模河川流域よりも、中小規模河川流域における洪水予報や避難計画策定の推進がうたわれており、従来以上によりきめ細やかな水害の予測が必要となってきています。
そこで、日立製作所中央研究所と日本気象協会首都圏支社では、各自治体で手軽に利用可能なパソコンを用いて、従来の2次元の地図よりも洪水の進展する状況が把握しやすい、3次元のGIS上に、洪水の様子を瞬時に表示する高精度の洪水シミュレーション技術を開発しました。開発技術の特長は、以下の通りです。
(1) 50メートル四方単位での高効率洪水シミュレーション技術
パソコンの計算処理性能の範囲で高い精度の洪水シミュレーションを行うために、洪水現象の特徴である境界領域を集中して計算する新たな計算手法を開発しました。これによって、従来250メートル四方単位の精度であった洪水シミュレーションを50メートル四方単位の精度に高めることに成功しました。これによって、近年課題になっている中小規模河川の決壊に対応する中規模区域(5キロメートル四方程度の区域)のリアルタイムシミュレーションをパソコン上ではじめて実現しました。
(2) 地理情報システム(GIS)上の洪水可視化技術
GISの3次元座標上でシミュレーションを連動して行う技術を開発し、数値計算と同時にGIS上に可視化する技術を開発しました。これによって、洪水拡大の様子を見ながら、その場で、降水量や堤防が決壊する場所を変更することができるようになりました。さらに、河川の決壊と内水氾濫を同時に起こすなど、様々なシナリオによるシミュレーションを実現しました。
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図 水害状況の現地調査結果とシミュレーション結果の比較 |
現地調査結果(左)と50メートル四方単位のシミュレーション(右)の比較
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現地調査結果(左)と250メートル四方単位のシミュレーション(右)の比較
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この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)、数値地図2500(空間データ基盤)、数値地図50メートルメッシュ(標高)及び数値地図5メートルメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号平17総使第205号)
| | お問い合わせ先 |
株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:内田、木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 : (042)327-7777 (直通)
財団法人日本気象協会首都圏支社営業部 [担当:百瀬、村井]
〒170-6055 東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60 55F
電話 : (03)5958-8142 (直通)