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2005年6月23日
株式会社日立製作所
国立大学法人北海道大学
3次元形状データから数値解析用メッシュを
自動生成するソフトウェアを開発
コンピュータグラフィックスやX線CT画像から強度や温度分布を計算可能に
株式会社日立製作所機械研究所(所長:福本英士/以下、日立)は、国立大学法人北海道大学(総長:中村睦男/以下、北海道大学)と共同で、3次元形状を表現する高密度メッシュモデルから数値解析用メッシュを自動生成するソフトウェアを開発しました。これは、3次元形状計測図やコンピュータグラフィックスが高密度メッシュで表現されていることに着目し、これを数値解析用メッシュに活用するという新しい概念に基づくもので、ユーザがメッシュの数や品質を自由に設定することができるのが特長です。本技術によって、数値解析用メッシュ作成の手間が大幅に低減されるとともに、コンピュータグラフィックスや形状計測データを直接利用した、強度や温度分布の解析シミュレーションが可能になります。これにより、設計初期段階での性能信頼性評価が可能になり、設計の効率化と品質向上に寄与します。なお、本成果は、文部科学省知的クラスター創成事業「札幌ITカロッツェリアの創成」の一環「次世代デジタルスタイリングデザイン研究開発プロジェクト」のもとで行われました。
三次元部材の強度分布、温度分布、磁場分布など数値シミュレーションは、部材を小さな計算要素(メッシュ)に分割して解析する有限要素法が用いられます。しかし、複雑な三次元形状を最適なメッシュに分割する作業や、計算精度を向上するために再分割する作業は、経験やノウハウが必要で、場合によっては要素分割の適否が解析結果に影響を与える場合もあります。今後、様々な製品に対して形状デザインばかりでなく、数値解析に基づいた高度な製品設計を実現するためには、CAD(Computer Aided Design)データに加えて、コンピュータグラフィクスや現物を撮像した形状計測データ、X線CT画像など様々な形状データから、解析用メッシュを効率良く作成する必要があります。
今回、日立と北海道大学は3次元形状計測図やコンピュータグラフィックスが高密度メッシュで表現されていることに着目し、従来の手法とは全く異なる発想で、高密度メッシュモデルから低解像度化して解析メッシュを生成する新たなソフトウェアを開発しました。開発したシステムの特長は次の通りです。
(1) 多重解像度表現を用いて高密度メッシュから高品質な解析メッシュを自動生成
本システムは解析計算に必要なメッシュ要件(要素品質、粗密)を考慮しながら高密度メッシュモデルを段階的に低密度な解析用メッシュに変換します。その際に、途中のメッシュモデルをデータ保持しているため、ユーザは解析用メッシュの密度を自由に選択できます。これにより、解析用メッシュの作成時間を従来に比べ1/5程度に短縮することができます。
(2) X線CT撮像データを利用した現物融合解析シミュレーション
日立では本技術をX線CT装置で撮像した形状データ(高密度三角形メッシュデータ)から有限要素法解析で用いる解析用メッシュを自動生成するシステムに応用しました。撮像した形状データは非常に高密度(数百万ファセット以上)であるため、従来は解析利用が困難でしたが、本システムでメッシュ数を解析可能な規模に低減することにより、現物をベースとした解析シミュレーションが可能になりました。
本技術によって、数値解析用メッシュ作成の手間が大幅に低減されるとともに、コンピュータグラフィックスや形状計測データを直接利用した解析シミュレーションが可能になります。なお、試作品は2005年6月22日から東京ビックサイトで開催されている「設計・製造ソリューション展」で展示されています。
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株式会社 日立製作所 機械研究所 企画室 [担当:高岡]
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