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2005年6月1日
株式会社 日立製作所
株式会社ルネサス テクノロジ
常温で積層チップ間を接続可能な貫通電極技術を開発
- 十段の積層チップをパッケージ厚さ1mm以下で、かつ常温で接続可能 -
株式会社 日立製作所(本社:東京都千代田区、執行役社長:庄山悦彦、以下日立)と株式会社ルネサス テクノロジ(本社:東京都千代田区、社長&CEO:伊藤達、以下ルネサス テクノロジ)は、このたび、三次元構造のSiP (System in Package)の実装技術として、常温での積層チップ間貫通電極接続技術の開発に成功しました。
本技術は、30〜50µmに薄型化したLSIチップの電極部分を、表面から裏面への貫通電極並びにバンプを形成し、積層チップ間の接続を常温での圧接により行うもので、ウェハの薄型化から裏面貫通電極の形成、チップへの個片化を行い、常温での圧接のみで積層チップ間の貫通電極接続が可能であることを確認しました。本技術により、例えば、2段積層SiPのパッケージ厚さを、既存の1.25mmから0.5mm以下へと40%以下に薄型化できる見込みを得、さらに、LSIチップを十段積層した場合においても、パッケージの厚さを1mm以下で実現可能です。加えて、常温でチップ間接続を行うため、製造を容易にします。
近年、急速に市場が拡大しているモバイル情報機器等の分野では、機器の高性能化と小型化を両立するため、電子部品の搭載面積を大幅に縮小する手段として、複数のLSIチップを三次元に積層するSiP技術が注目されています。現在、三次元SiP製品の多くは、ワイヤボンディング技術を用いてチップ間を電気的に接続していますが、ワイヤスペース確保のために薄型化には限界があります。さらに、チップ間の接続はパッケージ基板配線を経由するため、パッケージ基板の層数が増加する上、配線密度も高くなり基板の高価格化を招きます。加えて、積層チップ間のワイヤ配線長が長くなることは、性能劣化を引き起こす要因ともなります。このため、今後のSiP製品の小型・薄型化と高速・大容量化の両立を実現できるチップ間接続技術の開発が必須であり、その1つとして貫通電極技術の開発が進められています。
このような背景から、日立とルネサス テクノロジは、これまでの貫通電極技術と比較して、短TAT(Turn Around Time)かつ低コストのプロセスで、信頼性の高いチップ間貫通電極接続を可能にする新しい接続概念を考案し、常温での圧接のみでチップ間の電気的な接続が可能であることを確認しました。
開発した技術の特長は以下の通りです。
(1) かしめ*1作用を利用した、常温で可能なチップ間接続技術
チップ間接続には、低剛性な金バンプの塑性特性を利用した機械的なかしめ作用を応用しました。これにより、常温で、圧力を加えるだけで金バンプと貫通電極間を電気的に接続できます。また、本接続技術はチップと基板間の常温接続への応用も可能です。従来のはんだ等の金属バンプを用いた貫通電極(接続)技術では、高温での接続が必須でしたが、本技術では、常温で可能なことから、製造が容易です。
(2) 低温プロセスによるウェハ裏面の貫通電極形成技術
貫通電極は、30〜50µmに薄型化したウェハの裏面に形成します。はく離可能な接着材でガラスウェハに固定されているため、接着材の耐熱温度以下で貫通電極を形成する必要があります。このため、貫通電極を形成するためのエッチングや成膜温度を従来の半分以下(150℃以下)の低温で実現可能なプロセスを新たに確立しました。加えて、貫通電極間の耐圧はLSI内部と同等レベルを達成しています。
今回開発した技術は、積層チップ間を最短の配線長で接続することができるため、今後の小型で高性能な超集積型SiP製品の開発に貢献できる技術として期待されるものです。
なお、本成果は、2005年5月31日から米国・フロリダのLake Buena Vistaで開催されている半導体実装に関する国際会議「Electronic Components and Technology Conference 2005 (ECTC 2005)」にて発表いたします。
*1 |
かしめ作用 : 材料間の変形差を利用して強固に接続すること。 |
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