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2005年4月12日
日本ALS協会
日立電子サービス株式会社
株式会社 日立ケーイーシステムズ
株式会社 日立製作所
ALS患者向け意志伝達装置「伝の心」 貸出機の設置を迅速化
- 日立グループ3社がボランティアで支援 -
日本ALS協会(会長:橋本操)では、日常生活用具の給付条件を満たさないALS*1(Amyotrophic Lateral Sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)患者に重度障害者用意志伝達装置(以下、意志伝達装置)を貸し出しています。このたび、貸出用装置の設置支援をしている株式会社日立製作所(執行役社長:庄山悦彦)、株式会社日立ケーイーシステムズ(取締役社長:泉千賀彦)に新たに日立電子サービス株式会社(取締役社長:百瀬次生)が参加したことにより、意志伝達装置「伝の心(でんのしん)」の設置にかかる期間を大幅に短縮しました。
日常生活用具給付制度では、重度身体障害者用の意志伝達装置を給付する条件として、次のように定めています。
1 |
) |
学齢児以上で身体障害者手帳の交付を受けた者 |
2 |
) |
両上下肢機能の全廃および言語機能を喪失した者 |
3 |
) |
コミュニケーション手段として必要と認められる者 |
これらの条件すべてを満足しないと意志伝達装置は給付されません。例えば、手足が全く動かなくなっても、言葉が話せる間は上記の条件2)を満たさないので給付されません。症状が進み人工呼吸器を取り付けて話せなくなり、身体障害者手帳に言語障害3級と明記されたときに初めて給付条件を満たすのです。「給付が遅すぎる。これでは意志伝達装置の操作について質問したくても声が出ない」と患者から早期給付を望む声が広がっています。
ALS協会では厚生労働省に早期給付を働きかける一方で、給付条件を満たす前の患者に「伝の心」を貸出しています。貸出用の機器は、日立製作所と日立ケーイーシステムズから「伝の心」出荷1000台を記念して2001年10月に寄付されたものです。日本ALS協会では、この10台を給付前の患者に貸出しを始めましたが、希望者が多かったことから、2002年6月には2社からさらに追加寄付のあった10台と合わせて合計20台を貸出用として運営しています。
この貸出機は、患者からの申込みがあると日本ALS協会療養支援部で審査します。貸出が認可されると、ALS協会は日立製作所に連絡を、日立製作所は日立ケーイーシステムズと分担して、ボランティアで貸出し希望者の自宅や病院等に出かけて貸出用装置の設置をしていました。遠隔地の場合、東京から出向くためにすぐには設置できないこともあります。最も悲しいケースとして、認可から設置までの期間が2週間程度あいて、設置に伺った翌日に患者が亡くなったことがありました。
そこで、設置期間を短くするために、2004年11月から、全国のATMをはじめとする情報システム全般の保守をする日立電子サービスが「伝の心」の設置にボランティア参加を始めました。日立電子サービスの参加により、認可されてから3日以内の設置が、全国どこででも可能になりました(ただし、離島は除く)。
また、「伝の心」操作説明を設置時に1時間聞いても、患者は説明された操作全部を覚えきれず、後から介護者がマニュアルを見て説明したり、日立製作所に問合せをするケースがありました。この問題を解決するために、日立電子サービスで作成したビデオテープ『「伝の心」設置編・操作編』を装置と一緒に貸出すことにしました。設置時に長い説明をしなくても、使う人のペースで「伝の心」の操作を勉強しながら使えるようになり、患者に喜ばれています。
日本ALS協会の意志伝達装置貸出に日立グループ3社がボランティアで協力することにより、給付前の患者が意志伝達装置を迅速に使えるようになりました。日本ALS協会では、今回の企業支援の輪をケーススタディとして、これからも企業との連携を広げていく考えです。
*1 |
ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis)とは…
ALSは、脊髄の運動神経が侵され、全身の筋肉の萎縮が起こる進行性の神経筋難病です。初期症状としては、足がもつれる、口がうまくきけないなどの症状が起こり、症状が進むと、歩けなくなったり、筆談や発語、さらには呼吸ができなくなります。しかし、脳機能は衰えないため、相手の言うことは分かっても答えることができない、自分の考えを伝えられないなど、コミュニケーション上の問題が起こります。病気の原因も治療法も不明で、厚生労働省の「特定疾患」に指定され、全国で約6,000人の患者がいるといわれています。 |
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貸出に関するお問い合わせ先 |
日本ALS協会 本部事務局 [担当:荒川]
〒162-0837 東京都新宿区納戸町7-103
TEL : 03-3267-6942