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広域災害時に対応したIT基幹システムの
低コスト・高信頼ディザスタリカバリ技術を開発
数百キロメートル離れたバックアップシステムにより短時間で業務を再開可能に
株式会社日立製作所(執行役社長:庄山悦彦/以下、日立)は、広域災害が起きた場合に、離れた場所に設置したバックアップサイトで業務を再開するディザスタリカバリシステムの高信頼化、低コスト化技術を開発しました。本システムにより、東京-大阪間など数百km離れた都市間でも、災害時に100%のデータをバックアップするとともに、従来に比べ40%のデータ転送量でディザスタディスカバリを実現します。本成果は、広域災害時にも業務を継続することが必須な基幹業務における、ディザスタリカバリシステムの実用拡大を促進するものです。
本開発には、文部科学省が平成15年度から実施しているリーディングプロジェクト「e-Society基盤ソフトウェアの総合開発」の研究開発課題「先進的なストレージ技術」(研究代表者:東京大学 喜連川優教授)の研究開発成果が活用されています。
地震などの広域災害において、企業のIT基幹システムが停止すると、機会損失、賠償、原状回復などに莫大なコストが発生します。このような観点から、地震が多い日本では、広域災害を想定したITシステムの開発への期待が高まっています。その有力な手法として、メインのITシステムのほかに遠隔地にバックアップのシステムを設置し、災害時にはバックアップシステムで業務を継続するディザスタリカバリ技術が注目されています。この技術を用い、メインシステムの被災時に業務を迅速に再開するためには、100%のデータがバックアップシステムに移行されていることを補償することと、常にメインシステムの変更に同期してデータを転送する同期転送が必要です。しかし、メインシステムとバックアップシステムの距離が長くなると、この同期転送の負荷によってメインシステムの性能を低下させてしまうことや、高い通信コストがかかることが実用上の技術課題となっていました。
このような背景から、高い信頼性を持ちながらも、メインシステムへの影響が小さく、かつ低コスト通信を実現するディザスタリカバリ技術を開発しました。開発技術の特長は、以下の通りです。
(1) メインサイトへの影響を抑制した100%データ転送補償方式
災害時に100%データ転送を補償するためには、データベースの更新のたびに、更新ログとデータ本体を同期転送する必要がありました。しかし、更新ログやデータ本体を転送するための通信待ち時間が距離に応じて大きくなるため、メインシステムの性能に影響を及ぼしていました。今回、データベースの更新ログだけを同期転送するハイブリッドデータ転送技術を開発し、メインサイトの性能を90%確保しつつ、100%データ転送の補償を実現しました。
(2) リアルタイムログ適用技術による通信コストの削減
データ本体の転送をする代わりに、リモートサイトにコピーされた更新ログを用いてデータ本体を逐次更新するリアルタイムログ適用技術を開発しました。これにより、データ通信量を従来比の半分以下に削減することで、通信コストを約40%削減することができました。
今回開発した広域災害対応のディザスタリカバリ技術は、当社のスケーラブルデータベース「HiRDB(ハイ・アール・ディービー)」で製品化を計画しています。ユビキタス情報化社会を実現するためのプラットフォームである情報システムを安心して使い続けるための核となる技術です。
| | お問い合わせ先 |
株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:内田、木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
TEL : (042)327-7777 (ダイヤルイン)