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ストレージを活用しデータベースからの情報の取り出し速度を
最大約6倍に高速化する技術を開発
株式会社日立製作所(執行役社長:庄山悦彦/以下、日立)は、データベース管理ソフトを監視し、あらかじめ取り出すことが予想される情報をストレージのキャッシュメモリに読み込むことによって、日立の従来ソフトウェア製品と比較して、データベースの情報取り出し速度を最大約6倍まで高速化する技術を開発しました。本技術は、トレーサビリティ情報や顧客情報管理、経営分析システムなど大規模なデータベースを対象とした情報の分析処理の高速化に効果があり、これからのユビキタス社会を支える技術です。
なお、本開発には、文部科学省が2003年度から実施しているリーディングプロジェクト「e-Society基盤ソフトウェアの総合開発」の研究開発課題「先進的なストレージ技術」(研究代表者:東京大学 喜連川優教授)の研究開発成果が活用されています。
ユビキタス社会を支えるため、企業や社会で発生する様々な情報が電子的に保存・活用されつつあります。こうした情報の多様化や容量増加に伴い、情報の加工や取り出しに要する時間も増大しています。一方、大量の情報の中から、これまで以上に素早く正確に情報を入手するために、データベースの処理性能の高速化が求められています。
このような情報を保存するデータベースはストレージに蓄積されています。データベースから情報を高速に取り出すためには、データベースの情報をストレージのキャッシュと呼ばれるメモリにあらかじめ読み込んでおくことが有効です。一方、データベースからの情報の取り出しは、データベースに設けられた索引を用いて行われます。しかし、索引を用いた情報の取り出し順序は複雑で、情報をストレージのキャッシュに読み込んでおくことは困難なため、大規模なデータベースからの情報の取り出しに時間がかかることが課題となっていました。
このような背景から、日立はデータベース管理ソフトを監視し、あらかじめ取り出すことが予想される情報をストレージのキャッシュメモリに読み込むことによって、データベースの情報取り出し速度を高速化する技術を開発しました。本技術は、データベース管理システムがどの索引のどの部分を使用しているかを監視し、データベース管理システムがストレージから取り出そうとする情報を特定します。そして、データベース管理システムがストレージから情報を取り出す前に、その情報をストレージのキャッシュに読み込みます。この結果、データベース管理システムは必要な情報の大半をキャッシュから得ることができるようになり、データベースの処理性能を飛躍的に向上させることが可能となります。
日立が開発した技術を用いてTPC-H ベンチマーク*1)に含まれる処理の一つを用いてデータベースからの情報の取り出しを実行した結果、日立の従来ソフトウェア製品と比較して、情報の取り出し性能を最大約6倍まで向上できる見通しが得られました。今回開発した技術は、企業のデータセンタをはじめとする大規模なサービスを支えるストレージ及びデータベース管理システムに適用することが可能です。これにより、これまで時間を要していた情報の分析処理など高度な情報の活用も短い時間で行うことができるようになり、安全で快適な社会生活を実現する新サービスの開発や普及を促進させるものと期待できます。
なお、本技術は、4月5日から東京で開催される「第21回IEEEデータ工学国際会議(International Conference on Data Engineering, ICDE 2005)」のエキシビションでデモ展示されます。
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用語説明 |
*1 |
TPC-Hは、Transaction Processing Performance Councilが定める意思決定支援システムの性能を測定する業界標準のベンチマークテストです。 |
| | お問い合わせ先 |
株式会社 日立製作所 システム開発研究所 企画室 [担当:鈴木]
〒215-0013 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地
TEL : (044)959-0325 (ダイヤルイン)