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ナノインプリント技術応用による細胞培養シートを開発
株式会社日立製作所(執行役社長:庄山 悦彦/以下、日立)は、このたび、再生医療への応用が期待される「ナノピラー細胞培養シート」を開発し、2005年5月から発売します。
なお、本培養シートの製造は日立が行い、サンプルの販売は日立と株式会社日立ハイテクノロジーズ(執行役社長:林 將章)が行います。
ナノインプリント技術は、ナノテクノロジー研究で注目されている微細加工技術の中でも最も実用化に近い技術の一つです。本技術は、微細な凹凸のある「型」を樹脂などの被加工材料に押し付けて成形するナノスケールの成型加工技術であり、既存技術と比較してナノスケールの構造を安価に製作することが可能となります。
日立はこのナノインプリント技術によって、直径がナノスケールで高さが直径の数十倍もあるナノピラー構造を開発しました。そして、開発したナノピラー構造を今後の再生医療の発展に不可欠な組織培養へと適用する研究を、独立行政法人産業技術総合研究所植村研究室、および国立大学法人北海道大学下村研究室と共同で進め、その成果として細胞培養シートを開発・製品化し発売することにしました。
今回開発した細胞培養シートの特長は以下の通りです。
(1) 細胞の優れた剥離性
従来の培養シャーレでは、平坦なシャーレの底に付着性のある細胞が付着します。このような細胞を培養シャーレから剥離することは困難でした。本培養シートでは細胞の大きさよりも小さいナノピラー構造上で細胞を培養するため、培養した細胞の剥離が容易となります。
(2) 細胞を取り出す際の活性低下を軽減
従来の培養シャーレでは、培養してシャーレに付着した細胞を取り出す際にトリプシンなどのタンパク質分解酵素を加えます。しかし、タンパク質分解酵素は細胞表面のタンパク質を分解するために、剥離後の細胞の活性が低下することが問題となっています。一方、本培養シートを用いれば細胞が容易に培養シートから剥離できるため、タンパク質分解酵素を使わずに細胞を回収することが可能となり、細胞を取り出す際の活性低下を軽減することができます。
さらに、ナノインプリント技術では、培養シート上のナノピラー構造のレイアウトや材質を変更することもできます。今後、日立は様々な培養条件に合わせて最適化したナノピラー細胞培養シートをお客様のご要望に応じて受託開発することにも対応する予定です。
また、日立はグループ各社で保有しているナノテクノロジー関連の技術を集結して早期にビジネスへと繋げるために、トータルソリューション事業部内にナノプリントソリューションセンタを設置しました。今後は、同センタを中心にナノピラー細胞培養シートを販売し、ナノインプリント関連の市場創生に向けた事業展開を図って参ります。
なお、本培養シートを用いた細胞培養の詳細については、3月1日から大阪国際会議場で開催される日本再生医療学会で発表します。
| | お問い合わせ先 |
株式会社日立製作所 トータルソリューション事業部 プロジェクト統括本部
ナノプリントソリューションセンタ(日立御茶ノ水ビル内) [担当:根本、森脇]
〒101-8010 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
TEL : 03-5295-5839 (ダイヤルイン)