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2004年12月16日
高温特性に優れたマイコン搭載用フラッシュメモリの電荷蓄積膜を開発
180℃で10年のデータ保持を実現、消去速度も約二桁向上
株式会社日立製作所(執行役社長:庄山悦彦/以下、日立)は、このたび、株式会社ルネサス テクノロジ(会長&CEO:長澤紘一/以下、ルネサス テクノロジ)と共同で、マイコン搭載用のフラッシュメモリにおいて、180℃の高温で10年間のデータ保持性能と、消去速度を二桁向上する特性を持った電荷蓄積膜用のSiON(シリコン酸窒化膜)を開発しました。フラッシュメモリ搭載マイコンの将来のニーズに対して、より高温環境下での使用の道を開く技術です。
フラッシュメモリ搭載マイコンは、書き換え可能なフラッシュメモリ領域を持ち、そこに機器制御用プログラムを格納する機能を持ちます。仕様変更への対応が容易であることから、少量多品種の製品展開に適しており、家電品や情報機器の制御に広く用いられています。マイコンに搭載するフラッシュメモリとしては、近年、低電圧動作特性に優れ、かつ高集積化に適した電荷捕獲(トラップ)型フラッシュメモリ*1が注目されています。今後、このフラッシュメモリ搭載マイコンの応用が広がるとともに、様々な環境下での動作が要求されてくるものと思われます。
今回、日立では、ルネサス テクノロジと共同で、従来からの電荷捕獲型フラッシュメモリの低電圧動作の特徴に加え、高温データ保持特性と高いデータ消去速度を合わせ持つ電荷蓄積膜の開発に成功しました。
開発技術は、従来、電荷捕獲型フラッシュメモリの電荷蓄積膜に用いられていたSiN(シリコン窒化膜)材料に代えて、新たにSiON(シリコン酸窒化膜)を採用するものです。今回、電荷蓄積膜として高い性能を引き出すための最適なSiONの組成を見出し、その製造プロセスを確立しました。これを試作デバイスに適用して評価した結果、以下の性能が得られることを確認しました。
(1) 高温データ保持性能の大幅向上:
SiONはSiNに比べて、電荷保持特性が高いという特徴があることを明らかにしました。このため、高温においても電荷の損失を少なくすることができ、優れたデータ保持性能が得られます。これによって、180℃で10年間のデータ保持ができることを実証しました。
(2) 消去速度の高速化:
電荷蓄積膜にデータとして保持された電荷は負の電荷のため、データの消去は、正電荷を注入することによって行ないます。この際、誘電率が低いほど、正電荷の注入を増大させることができますが、SiONはSiNよりも誘電率が低いため、消去速度を2桁程度向上させることができることを実証しました。
今回開発したマイコン搭載型フラッシュメモリの新たな電荷蓄積膜技術により、データ保持の信頼性向上を実現し、将来の様々なニーズに対して、より高温環境下でのフラッシュメモリ搭載マイコンの使用が可能となることが期待されます。
なお、本成果は、2004年12月13日から米国・サンフランシスコで開催される電子デバイスに関する国際会議「2004 International Electron Devices Meeting (IEDM)」にて発表しました。
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用語 |
*1 |
電荷捕獲型フラッシュメモリ: |
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絶縁体中に存在するトラップに電荷を捕獲して情報を記憶する不揮発性半導体記憶装置。 |
| | お問い合わせ先 |
株式会社 日立製作所 中央研究所 企画室 (担当:内田、木下)
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 : (042)327-7777 (ダイヤルイン)
以上