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2004年11月24日
姿勢センサを利用した携帯端末向け3次元地図表示技術を開発
地下街でも迷わず目的地への到達が可能に
日立製作所日立研究所(所長:福永泰/以下、日立)は、このたび、携帯端末の画面に、地上の建物などを3次元で立体表示し、利用者が自分の位置や周囲の様子を確認することできる3次元地図表示技術を開発しました。開発した技術は、GPS(全地球測位システム)から取得した利用者の位置情報と、利用者が手に持った携帯端末の姿勢検知センサで検知した情報を利用し、自分の位置を基準に、携帯端末をかざした方向の3次元地図を表示する技術です。この技術を携帯電話のナビゲーションに応用することにより、利用者は自分の位置と、自分が向いている方角や地上、地下といった上下の位置関係を把握することができるため、地下街であっても、携帯電話の画面を見るだけで、目的地に迷うことなく到達することが可能になります。
近年、GPSによる位置検出や平面地図表示といったナビゲーションサービスが携帯電話向けに実用化されています。さらに、磁気コンパスを内蔵し進行方向に応じて平面地図を回転表示する技術も実用化されています。しかし、平面地図表示だけでは、目的地が建物の上層階にあるのか、それとも地下にあるのかといった上下方向に関する情報がわかりにくい場合が多く、また、利用者が平面地図を見ながら、頭の中で周囲の建物の配置と対応付ける必要がありました。そのため、より身近なナビゲーションサービスを実現するためには、直感的に周囲の状況が把握出来る技術が望まれています。
そこで、日立はGPSと姿勢検知技術を組み合わせ、自分の位置と手に持った端末から3次元的な姿勢を検出し、位置情報と端末の姿勢の変化から、携帯端末の画面に、自分の周囲の様子や目的の方向を、3次元的に表示するナビゲーション技術を開発しました。また、屋内での位置検知を考慮し、RFID*1や歩行動作認識技術*2を利用した位置検知装置と組み合わせることも可能です。
今回開発した技術の特長は以下の通りです。
(1) 3次元姿勢検知技術の開発:
3軸の加速度センサを用いて端末の傾きを検知し、3軸の磁気センサを用いて端末の向いている方角を検知します。これらを利用することにより、端末のすべての姿勢状態を検知することが可能です。
(2) マルチセンサモジュールによる小型化:
MEMS*3技術を活用した加速度センサと小型の磁気センサを利用しており、これらのセンサと姿勢検知演算用CPUを1枚のボードに実装することにより姿勢検知ユニットの小型化を図ることに成功しました。今後は、携帯電話への搭載を考慮してさらなる小型化を狙う予定です。
(3) 3次元地図描画技術の開発:
視点の位置はGPSなどを用いて取得し、表示画面の向いている方角と画面の傾きや回転などを磁気センサと加速度センサを用いて検出します。視点位置と表示画面の姿勢情報を利用し、周囲の様子を3次元地図データを利用して表示画面に描画します。
今後、日立はカメラ付き携帯電話の実写画像や、正確な建物情報が付加された地図の利用を検討していくと同時に、ジャイロセンサ*4を利用した姿勢検知の補正技術の開発について取り組んでいく予定です。
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用語説明 |
*1 |
RFID:
Radio frequency identificationの略。ID情報などを無線を使って情報を読み出すことができるタグ。位置検知に利用する場合、ID情報と位置情報をリンクさせて使います。 |
*2 |
歩行動作認識技術:
加速度センサを使い歩行に伴う上下変動より歩行状態を認識する日立オリジナルの技術。歩行状態から歩幅を推定して位置検知にも利用できます。 |
*3 |
MEMS:
Micro Electro Mechanical Systemsの略。機械部品やセンサ、電子部品などを一つのチップに集積化したデバイスです。 |
*4 |
ジャイロセンサ:
物体に働く角速度を検出するセンサです。 |
| | お問い合わせ先 |
株式会社 日立製作所 日立研究所 企画室 [担当:根本]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
電話:(0294)52-5111(代表)
以上