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2004年10月21日
最大6種類の液体原料を任意の比率に混合する
流体MEMSチップを開発
化学薬品の高精度の調整や店頭での飲料の味・香りのブレンドに応用
株式会社日立製作所機械研究所(所長:三木一克/以下、日立)は、このたび、最大6種類の液体を任意の比率で混合する流体MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)チップを開発しました。このチップは、50mm×80mmという名刺サイズの外形寸法で、従来の数百倍に相当する毎分数十ミリリッター以上の液体を処理することができます。高い精度が必要な化学薬品の調整から、店頭で飲料をブレンドして試飲することまで、様々な用途に適用できる新しい液体混合チップです。
近年、液体の種類や濃度、温度を少しずつ変えて、高精度の化学薬品を開発するニーズが高まってきています。そこで、マイクロ化学プロセスと呼ばれる、極めて小さな空間を利用して、均質性を保ちながら、早いスピードで混合物を作成する試みが活発に進められています。このマイクロ化学プロセスでは、バイオ・医療分野で開発が進んでいる検査チップに用いられてきた、流体MEMSの技術が使われていますが、この技術を用いたプロセスを実用化するためには、マイクロオーダーの領域を扱うMEMSの本質的な課題である、液体原料の処理量の少なさや、反応器の取扱いの難しさを解決する必要がありました。
このような背景から、今回、日立では、最大6種類の液体原料を同時に流すだけで、従来のMEMSを用いた混合手法に比べて、数百倍に相当する毎分数十ミリリッターの混合液を作り出す、流体MEMSチップを開発しました。今回開発した技術の特長は並列処理技術です。これは、シート状の流路内(幅40mm×長70mm×高0.3mm)にマトリックス状に配置した500個の立体ノズル(幅0.2mm×長0.4mm×高0.3mm)を用いて流れを整えることで、1,001列の液を均等に流すことが可能です。今回開発したチップは取扱いが容易で、処理量も大きいものですが、この並列処理技術により、従来の流体MEMSチップと同等以上の速さで混ぜ合わせることができます。
開発した流体MEMSチップは、専用の自動混合装置に装着して混合条件を入力するだけで、少量の液体原料であっても、短時間で高品質な混合液を作ることができます。この技術により、化学薬品の研究開発においては、複数の化学材料を任意の比率で高精度に混合することが可能となり、試薬の調整に使用することができます。また、飲料や調味料、香料や化粧品といった日用品を、店頭で顧客のニーズに応じて提供することも可能で、様々な分野で応用が期待できます。
なお、開発した流体MEMSチップは、株式会社日立インダストリイズ(取締役社長:石津尚澄)より2004年12月に販売を開始するマイクロミキシングサーバーに搭載されます。また、本技術は2004年11月に東京科学技術館で開催されるマイクロマシン展へ出展する予定です。
図 開発した液体混合用MEMSチップ(外形:50mm×80mm)
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株式会社 日立製作所 機械研究所 企画室 [担当:高岡]
〒300-0013 茨城県土浦市神立町502番地
電話 : (029)832-8201(ダイヤルイン)
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