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2004年9月2日
屋上機械室が不要で建築設計の自由度を高める
機械室レス荷物用エレベーターを発売
日立製作所 都市開発システムグループ(グループ長&CEO:角田義人/以下、日立)は、巻上機や制御盤等を昇降路内に設置することにより、建物屋上のエレベーター用機械室が不要で、建築設計の自由度を高めることができる「機械室レス荷物用エレベーター」を9月3日より発売します。
従来のロープ式荷物用エレベーターでは、建物屋上にエレベーター用機械室を設置することから、屋上スペースの利用に制限があるほか、道路や近隣の通風や採光を確保するための建築上の制限である斜線制限*1の対象に屋上機械室も含まれることから、北側にエレベーターを配置しにくいなど、建物内でのエレベーターの配置に大きな制約がありました。また、油圧式荷物用エレベーターでは、建物最下階などに機械室を設置する必要があり、店舗や倉庫、事務所など建物のスペース活用に制限がありました。
日立は、1998年11月に乗用の機械室レス標準型エレベーター「アーバンエース」を発売し、2000年2月に機械室レスオーダー型乗用エレベーター「オーダーアーバン」を発売しました。巻上機や制御盤等をエレベーターの昇降路内に設置することにより、建物屋上の機械室を不要とした機械室レスエレベーターは、エレベーターの配置計画の柔軟性や省スペース性等が高く評価され、中・低速度の乗用エレベーターでは主流となっています。そして、近年では、乗用エレベーターだけではなく荷物用エレベーターに対しても、機械室レス化のニーズが高まっており、このたび機械室レスの荷物用エレベーターを発売することとしました。
*1 |
斜線制限 |
|
建築基準法に基づく建物の高さに関する制限のひとつで、道路斜線、隣地斜線、北側斜線の3種類がある。道路や隣接地の日当たりや通風などを妨げないよう、建物の各部分の高さを規制する。 |
機械室レス荷物用エレベーターの特長
(1)屋上機械室が不要
従来、建物屋上の機械室に設置されていた巻上機や制御盤等を、エレベーター昇降路内に設置することにより、屋上機械室が不要になりました。このため、斜線制限に対して有利になり、建物のレイアウトを計画する上で、エレベーターの設置位置の自由度が増します。倉庫や工場、店舗等の建物内の物流経路を優先したエレベーターの配置が可能です。また、機械室が不要となることから建築工事の期間とコストの低減も可能となります。
(2)オーバーヘッドの縮小
せり上げ方式*2の採用と、かご上機器の高さ寸法の低減により、従来のロープ式荷物用エレベーターと比べて、オーバーヘッド(最上階停止時のかごの床面から昇降路の頂部までの高さ)の寸法を短縮しました。
例えば、積載質量1,500kg、速度45m/分のエレベーターを設置する場合、ロープ式荷物用エレベーターでは4,450mm、油圧式荷物用エレベーターでは3,450mmのオーバーヘッドが必要ですが、機械室レス荷物用エレベーターは3,250mmであり、より省スペースでのエレベーターの設置が可能となり、建物屋上の形状への影響がほとんどありません。
(3)消費電力の低減
ギヤレス巻上機、インバーター制御の採用により消費電力を低減しました。例えば、積載質量1,500kg、定格速度45m/分のエレベーターの場合、電動機容量は7.4kWと、従来のロープ式荷物用エレベーターの8kWに対して約8%、油圧式荷物用エレベーターの40kWに対して約81%低減できるなど、省エネ運転が可能です。
(4)機械室レス荷物用エレベーターの概略仕様
項目 |
仕様 |
用途 |
荷物用 |
駆動方式 |
ロープ式・機械室レス式 |
積載質量 (kg) |
600/750/1,000/1,500 |
定格速度 (m/分) |
45/60 |
停止階数 |
最大14ヵ所 |
昇降行程 |
最大30m |
出入口型式 |
2枚戸片開き |
かご出入口数 |
1方向出入口/2方向出入口 |
運転方式 |
ボタンスイッチコントロール*3(標準仕様)
コレクチブコントロール*4(有償付加仕様) |
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*2 |
せり上げ方式 |
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かご上部に吊上げ機構を設けずに、かご枠下に綱車を設け、そこに架けられたロープでかごをせり上げる(持ち上げる)方式。 |
*3 |
ボタンスイッチコントロール |
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単式自動方式ともいい、かご内の行先階ボタンの操作を優先し、かご内運転が終了するまでホールボタンによる呼びに応答しない方式。 |
*4 |
コレクチブコントロール |
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乗合全自動方式ともいい、エレベーターがホールボタンやかご内の行先階ボタンの呼び登録をすべて記憶し、運転と同方向の呼びに応えて順次停止していき、前方の呼びがなくなると運転方向が反転し、その方向の呼びに応えて停止していく方式。 |
以上